一枚の革ができるまでには、私たちの想像する以上に時間がかかっているもの。
そんな革の旅の出発点となるのが、“タンナー”と呼ばれる、「皮」が「革」に変わる場所。
原皮を鞣すという仕事は、皮革産業の柱となる存在です。
この記事では、グローバルタンナーをご紹介します。
タンナーとは?
「タンナー」は、メーカーを指す言葉のこと。
かなり厳密にいえば、「タンナー」は、鞣し革業者、「タナリー」は、鞣し工場を指す言葉として使い分けられています。
タンナーは、世界中に存在しており、日本国内では、東京都台東区、兵庫県姫路市、栃木県栃木市によく見られます。
タンナーが担っている作業の内容は、“鞣し”と呼ばれ、生皮(きがわ)を腐敗から防ぎ、製品に使えるような“革”にすること。
一般的には、鞣しの工程を一貫して行われていることがほとんどです。
グローバルタンナー
日本
栃木レザー 株式会社
1937年創業。
ヨーロッパのタンナーに見劣りしない、高品質な素材を生産しています。
誰もが一度は耳にする「栃木レザー」で知られているのが、栃木レザー株式会社。
栃木県栃木市は、兵庫県姫路市に次いで、二番目に大きな皮革産業地帯。
“栃木レザー”広く知られるようになった要因に、栃木レザー株式会社の営業努力があったことは間違いありません。
有限会社 新喜皮革
1951年創業。
コードバン、ホースハイドといった、名だたる“高級革”の生産を作っています。
その独自性と品質は国内外で高く評価されており、ニューレザーコンテストなどといった、大変栄誉ある賞を受賞しています。
フランス
デギャーマン社
ルクセンブルク、ドイツ、スイスとの国境近くにある、フランス最古のタンナー。
ハイブランド向けの高級革を主に扱っており、インテリア用の皮革の研究開発に近年は力を入れています。
イタリア
バダラッシ・カルロ社
イタリアを代表する、タンナーのひとつ。
トスカーナ州が世界に誇る、伝統的な鞣し製法を蘇らせたことで知られています。
植物タンニン鞣し革だけが持っている素材の魅力を伝える活動を精力的に行っています。
ワルピエ社
ブッテーロレザーを生み出した、イタリアの代表的タンナー。
ブッテーロレザーは、“ヌメ革の王様”とも評されるほど、国際的に高く評価されています。
イタリアンレザーの特徴のひとつでもある、染色技術の高さを惜しみなく活かした革づくりを行っています。
ブレターニャ社
創業時からの信念を貫き、植物タンニン鞣し革のみを作り続けている、トスカーナ州のタンナー。
フランス産の原皮にこだわり、ブレターニュ州から個性的な素材を発表しています。
M.P.G社
タンニンの品質にこだわり、高品質な革づくりを行っています。
乾燥させた革を、ゆっくりと革を寝かせて、さらに乾燥させることにより、味わい深い表情を出しています。
オペラ社
ヌバック、スエードなどの起毛革のみを扱う、イタリアの専門的タンナー。
新興企業でありながら、すでに革靴用の素材では、よく知られた存在となっています。
ヴィルジリオ社
自然な風合いが残る、アニリン仕上げの革を専門とする、トスカーナ州のタンナー。
北欧諸国などの寒い地域で育った、繊維の密度が高い皮を原皮に採用。
スローバスタンニン製法と呼ばれる、原皮に負担のない鞣し製法を行うことで、表面に傷のない、美しい革が生まれています。
ヴィルジリオ社(Virgilio Conceria Artigiana)。スローバスタンニングによる“昔ながらの革づくり”。
テンペスティ社
ファッション性のある革を手掛け、ファッションモードの流れを取り入れた、先進的な革作りが特徴。
創業当時より、ハイブランド向けの素材を提供してきました。
ラ・ペルラ・アッズーラ社
近年、知名度が高まりつつある、イタリアのタンナー。
積極的に海外の見本市などに参加をしており、その人気が高まっています。
また、自然環境面に配慮した生産を進め、“(LWG)認証”を獲得するなどしています。
イギリス
セジュウィック社
1906年創業。
イギリスを代表する、ブライドルレザーを作り続けています。
約1000年以上も前から続く、イギリスの伝統的な鞣し製法を採用。
“英国紳士”を彷彿とさせる革は、世界中で愛され続けています。
アメリカ
ホーウィン社
1905年創業。
コードバンを主に作っており、“コードバン=ホーウィン社”といっても過言ではないかもしれません。
イギリスのセジュウィック社と同じく、光沢の美しい革は、世界の人々に愛され続けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
その国や地域の歴史と文化が深く息づいている、タンナーの世界。
あなたの革製品の背景に想いを馳せれば、さらに深い愛情を持つことができるかもしれません。