兵庫県姫路市は、日本三大皮革産地のひとつ。

日本で生産される革の約7割が姫路の地で作られており、遡ること平安時代から現在に至るまで、数多くの皮革関連会社が軒を連ねています。

本コラムでは、そんな姫路レザーの特徴を歴史と併せてご紹介します。

姫路レザーについて

兵庫県の姫路市は、古くから革の生産が盛んな土地。

その歴史は1000年以上にもなり、生産は平安時代からすでに始まっていたとされています。

姫路市で生産される革はすべて「姫路レザー」と総称されていますが、元々は姫路市の名産品である白鞣し革を指す言葉でした。

この白鞣し革は、山梨県の名産品である甲州印伝革と並ぶ、長い歴史を持つ、国内革を象徴する存在となっています。

姫路レザーの特徴は?

姫路レザーは姫路市周辺で生産されたすべての革を意味する言葉であるため、一概に姫路レザーの特徴を語ることはできません。

しかしながら、日本における革の生産の約7割ものシェアを占めていることから、姫路レザーの品質が高く、全国のメーカーに信用され続けているということは確かでしょう。

姫路市名産の白鞣し革とは?

豊臣秀吉が愛した革

白鞣し革は塩と菜種油で鞣された革のことで、姫路市の名産品であり、別名:「姫路革」・「越靼革」・「播磨革」とも呼ばれます。

戦国時代には甲冑や馬具に重用されるようになり、江戸時代に、当時の姫路藩は豊臣秀吉に対して、白鞣し革をはじめとする姫路市で生産された革を使った様々な装飾品や馬具を献上していたそうです。

白鞣し革の製法は、原皮を川に晒して毛を抜き、塩と菜種油を利用して鞣すという、唯一無二の鞣し製法が施されています。

天然素材のみが使われている白鞣し革は、天日干しによって生まれた白色と、揉み込みによって生まれる独特の柔らかさと優しい香りが魅力。

そんな白鞣し革を土台にした革も作られていることから、白鞣し革は、“革のキャンバス”とも呼ばれています。

偶然が重なって生まれた?

質の高い革作りができるのかどうかを左右するもの、それがその土地の水質と気候です。

国内皮革産業の発祥の地といわれる姫路市花田町高木地区には、市川という河川が流れています。

この市川は、鞣しに適した水位の低い川であることに加えて、生野銀山からの明礬(ミョウバン)、脱毛を手助けするバクテリアの動きがより活性化する条件が奇跡的に揃っています。

とても澄んだ市川の水は、革の耐久性に好影響を与える鉱物を豊富に含んでいます。

また、姫路市は年間を通して晴天が多く、革の天日干しに適した土地でもあります。

良質な革作りには欠かせない、気候と環境を持っているのが、姫路市花田町の高木地区なのです。

自然の恵みを活かして

白鞣し革に使われている、塩と菜種油。

鞣しに必須となる塩は、古くから瀬戸内海に近いこの土地に流通していたとされています。

また、姫路市は菜種油の産地としても有名であり、鞣しに適した自然環境に加えて、原材料の調達も容易にできる場所だったのです。

鞣し(なめし)とは。皮が革に変わる瞬間。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

白鞣し革をはじめ、日本の皮革産業を支える姫路レザー。

姫路市でいまなお生産されている白鞣し革は、1889年のパリ万博では「Japanese White Leather」と呼ばれた、日本を代表する革。

現在、白鞣し革の生産を手掛ける業者はかなり限られているようですが、依然としてその美しさは見る人々を魅了し続けています。

姫路市を観光する際には、市内のさまざまな皮革関連施設を訪れてみてください。

リンク:姫路市ホームページ

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