兵庫県は姫路市。
ここ姫路市は栃木県と並び、革の生産が盛んな地域で、国内で生産される革の約7割が姫路レザーだということを皆さんはご存知でしょうか?
現在でも100を超える皮革関連会社が軒を連ねる姫路市。
今回は、なぜ姫路レザーが生まれたのか、歴史と共にその魅力を語ります。
姫路レザーとは
姫路市は古くから革の生産が盛んな土地。
その歴史はとても長く、革の生産は平安時代からあったとの文献も存在しています。
山梨県の名産である鹿革を使った「甲州印伝」と同じように、長い歴史を経て現代まで継承されている国内革の象徴的な存在になっています。
姫路が生んだ革の名産品 ~白鞣し革~
元々姫路レザーは塩と菜種油で鞣された革=「白鞣し革」のことを指す言葉でしたが、現在では姫路で生産されたタンニン鞣しやクロム鞣しの革も総称して「姫路レザー」と呼称していることも多いようです。
この白鞣し革は「姫路革」や「越靼革(こしたん)」「播磨革(はりま)」とも呼ばれ、革の原材料である“原皮”を川にさらして脱毛、塩と菜種油といった自然の恵みを利用して鞣して天日干しを行うことで、本来の皮がもつ“優しい白い肌色”が特徴的な革が生まれています。
白鞣し革を作るうえで、なによりも大切なのが天日干しに必要な天候の安定です。
姫路市は年間を通して雨天が少ない土地ということもあり、姫路でしか生まれることのできなかった革でもあるのです。
江戸時代には豊臣秀吉にこの非常に繊細で美しい白鞣し革のほか、姫路(当時:播磨)で生産された革の馬具や装飾品が献上されていました。
現在では白鞣し革の生産業者はかなり限られたタンナーのみとなっているようですが、依然として非常に希少価値の高いものとなっています。
※以下、このコラム内では姫路で生産された革を総称して「姫路レザー」と呼びます。
姫路レザーの生産が盛んな高木地区
国内皮革産業発祥の地とも呼ばれる花田町高木地区は、同地区を流れる2級河川の市川沿いに位置しています。
先ほどご紹介した白鞣し革は、この川の水に原皮を浸してバクテリアの働きを活発化させ、脱毛が行われています。
しかし川は川でも革の鞣しに使える川にはある条件があるのをご存知でしょうか?
それは、バクテリアがうまく働く条件である、深くない浅めの川であること。
そして適度な川の流れがあり、近隣に天日干しができるような広い土地があるということです。
つまり市川が流れる高木地区は、白鞣し革をつくる条件にぴったりと合致したことが、その後の姫路レザー発展の要因ともなったのでしょう。
この高木地区で生まれた白鞣し革は、1889年のパリ万博で称賛を得て、その見た目から「Japanese White Leather」とも呼ばれたそうです。
姫路レザーの特徴はさまざま
姫路レザーは栃木レザーと異なり、姫路周辺で生産された革を総称して「姫路レザー」と呼ばれています。
数あるタンナーにはそれぞれ鞣しの方法や特徴の違いがあるため、一概に姫路レザーの特徴をお伝えすることはできません。
しかしながら国内革の生産の約7割ものシェアを姫路レザーが占めていることから、姫路レザーは全国の様々なニーズに対応した品質の高い革の生産を行っているからこそ、その大きなシェアを誇っていることがお分かりいただけると思います。
姫路レザーを使ったsotの商品
sot(ソット)では数多くの姫路で生産された革を使用しています。
その中でも代表的な2つのレザーシリーズをご紹介させていただきましょう。
LUKEレザーシリーズ
LUKEレザーはsotが独自で開発した、国内原皮を使った姫路レザーとなっています。
革内部の水分量、ワックス量、オイル量のバランスを長期に渡って調整し、革本来の理想的な表情と軽さの両立を実現しました。
手触りは非常にしなやかで、しっかりとしたコシも感じていただけます。
ELEGANZAレザーシリーズ
ELEGANZAレザーは主にsotのレディース向け商品に採用されているレザーです。
しっとりとした上品な手触りと革らしさ感じる革表面の豊かな表情もお楽しみいただけます。
最近ではユニセックス向けLファスナータイプのお財布も新登場しました。
性別問わず、多くの方に革の楽しさを味わっていただける、綺麗目のレザーシリーズとなっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は姫路レザーについてお話ししました。
白鞣し革をはじめ、日本の皮革産業を支える土地、姫路。
姫路観光の際には、同市内のさまざまな皮革関連施設を訪れてみてはいかがでしょうか?
リンク:姫路市ホームページ