動物の皮は生ものであるため、時間が経つと腐ってしまいます。

そんな皮の腐食を防ぐための処理を「鞣し(なめし)」といいます。

今回はこの鞣しについて詳しく解説!

このコラムを読めば、革がどのように作られているかを知ることもできますので、ぜひ最後までご覧ください。

鞣しとは

鞣しとは、皮の主成分であるタンパク質やコラーゲン分子を、化学的に結合させて皮の内部構造を安定化させることをいいます。

通常、皮は時間が経てば乾燥して硬化と伸縮し、やがては腐って廃棄するしかないものになってしまいます。

これらを防ぐのが鞣しであり、この鞣しによって皮は腐ることのない耐久性のある素材に生まれ変わるのです。

また、一度鞣しを行った革は、この性質が容易には元に戻らないという特性も持ち併わせています。

鞣しの原点は古代の人間の暮らしにあった

打製石器を使って動物を狩るようになった新石器時代以降、人間は寒さをしのぐために毛革を絨毯や羽織として使うようになります。

ただ、毛皮は気温が低くてもすぐに腐食が進んでしまう保管が難しいデリケートな素材であるため、人間は身近にある色々なものを用いて毛皮が腐食しない方法を探ることになったのでした。

当時は皮を湿度の高い場所に放置した後、動物の糞尿などを使って脱毛を行い、木の棒や動物の骨で皮を叩いて皮を柔らかくしていたということが古代の壁画や遺跡から分かっているそうです。

こうして人間は試行錯誤を繰り返しながら鞣しというものを確立しました。

皮が革になるまでの鞣し工程

ここからは鞣しの基本的な流れをご紹介していきます。

鞣しの概略は、「水漬け」-「脱毛」-「鞣し」-「染色・加脂」-「乾燥」-「仕上げ」の6つの工程となります。

原皮調達

まず、革は動物の皮を剥いだ“原皮”が原材料となります。

この原皮は、国内外のさまざまな屠畜場(とちくじょう)から鞣しを行うタンナーに輸送されています。

海外のような遠距離を移動して輸入される原皮は、輸送中に腐らないように塩を含ませて水分量を減らした状態でタンナーに届けられます。

水漬け

血液や土、塩などが付いたままの原皮を、清潔な状態にするために水に漬けて生皮の状態に戻します。

裏打ちと呼ばれる大きな機械を用いて、皮の裏面の余分な肉片などを取り除く作業も行われます。

脱毛

皮を加工しやすくするため、皮を硫化ナトリウムと消石灰に浸して毛穴を膨張させてるようにして脱毛します。

石灰漬け

石灰液に漬けて皮の繊維をほぐし、全体を柔らかくします。

最終的に厚みのある硬い革にしたい場合は、この工程を行わないこともあります。

脱灰

皮に付着した石灰をアンモニウム塩を使って除去します。

また、コラーゲン以外のたんぱく質も取り除きます。

ピックル

食塩と酸で皮に鞣し剤が浸透しやすくするようにします。

これは言わば次の工程の下準備。

ここまでの工程を経た皮をピックル皮と呼びますが、目にする機会はほぼないでしょう。

鞣し

鞣し剤と呼ばれる薬品を皮に浸透させ、内部繊維の結合を強くして皮に耐熱性と耐久性を与えます。

鞣しの種類には下記のようなものがあり、どの鞣しを行うかによって革の特性が大きく変わります。

それぞれの鞣しの特徴については、後ほどより詳しくお伝えします。

  • クロム(三価クロム)鞣し
  • 植物タンニン鞣し
  • 油鞣し

漉き

鞣した革を希望の厚さにカットします。

カットされて余った革を床革といいます。

再鞣し

大量に含んだ水分抜くために革を機械で絞ります。

同時に革の状態や品質を確認して、革にランク(等級)を付けていきます。

ランク分けされた後、ものによっては希望の性質になるように再鞣しをされることもあります。

染色

染色には、染料を使った「染め」、スプレーやハケを使う「塗装」、機械を使った「プリント」の3つの方法が存在します。

また、染めには革全体を染める「芯通し」と、表面だけを染色する「表面染色」があり、革の風合いがここで大きく変わります。

加脂

乾燥して硬くなった革を油を加えて柔らかくします。

さらに革を揉んで柔らかくします。

仕上げ

仕上げでは、塗装やアイロンを使った艶出し加工が行われます。

仕上げを終えれば鞣しは終了です。

その数20以上!たくさんある革の仕上げの種類をご紹介

さまざまな鞣し製法

鞣しは、クロム鞣しと植物タンニン鞣し、油鞣しの3つに大きく分類ができます。

それぞれ原皮は同じでも、どの鞣しを行ったかによって全く性質の異なる革が生まれます。

クロム鞣し

クロム鞣しは三価クロムと呼ばれる化学薬品を使った鞣しで、現代の主流の鞣し製法となります。

クロム鞣しは鞣し時間が短く、工程管理がしやすい特徴があります。

その歴史は浅いものの、大量生産・大量消費が当たり前になった21世紀において、一気にメジャーな鞣し製法となりました。

メリットとデメリット

クロム鞣しは安く短期間で革をつくることができる上に、革は柔軟性・弾力性・抗張性・耐熱性・染色性に優れ、軽さもあります。

バッグや衣料品など、市場に出回っている革製品の約8割以上が、このクロム鞣しを行った革だとされています。

デメリットには、エイジングがないことや可塑性がないことがあります。

クロム鞣しとは?

植物タンニン鞣し

植物タンニン鞣しは、天然の樹木から採取した薄いタンニン液に皮を浸して鞣すという製法です。

歴史の一番長い鞣し製法であり、徐々に濃度の濃いタンニン液を浸していくという伝統的で時間のかかる鞣し製法でもあります。

メリットとデメリット

コストはクロム鞣し革の1.5倍から2倍ほど。鞣しに要する時間は約4倍の2か月程度と、鞣しに時間がかかるために大量生産が難しいことがデメリットとしてあります。

しかしながら本革ならではの香りや色艶の変化、天然の傷やシボなどの天然素材ならではの表情が楽しめるため、今なお多くのレザーファンに愛されている鞣し製法です。

また、タンニン鞣しには化学薬品を使っていないので、革は土に還すことが可能。

環境問題が深刻化する現代で、再び注目が集まっています。

タンニン鞣しとは。自然の恵みタンニンについても解説。

油鞣し

アルデヒドを使った鞣し製法で、代表的な革にはセームがあります。

油鞣しを施した革はとっても柔らかく、吸水性が高いのが特徴。

また、洗濯ができることも特性のひとつです。

まとめ 

いかがでしたでしょうか?

今回は鞣しの工程と、3つの異なる鞣し製法をご説明しました。

鞣しの流れや製法による革の特徴の違いを知れば、革製品を選ぶ際に品質や特性をしっかりと見分けることができるでしょう。

sot(ソット)では、植物タンニン鞣し革を使った革製品をメインに取り扱っております。

ぜひ各店舗にて革製品をじっくりとご覧ください。

お茶の葉やコーヒー豆。いろいろな食の副産物で鞣された革をご紹介。