革製品の原料となる原皮。
原皮には様々な種類に加えて呼称が存在します。
今回はそんな原皮について解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
原皮とは
原皮とは、革製品の原材料となる生の皮のことをいいます。
世の中に流通している革製品のほとんどには脊椎動物の皮が使われており、哺乳類や爬虫類がよく使用されています。
中でもよく使われているのが牛や豚のような家畜動物の皮であり、食肉として加工されたあとに残った皮が原皮として利用されています。
原皮の種類は各国の食文化との結びつきがとても強く、その国の肉の消費量によって生産量が大きく異なるのが特徴です。
日本の場合、原皮は輸入されることがほとんどですが、豚皮においては自国での自給が可能となっており、東南アジア諸国を中心に輸出もされています。
原皮の種類
原皮は動物の種類や面積のほかに、重量や状態によって細かく区分されています。
さらに動物の種類によっては性別や年齢によっても呼称が変わり、牛革は性別によってステア・ブル・カウ・キップ・カーフなどに細かく区分されています。
また、羊革や山羊革は年齢によって呼称が変わり、シープ・ラム・ゴート・キッドなどに区分されています。
ハイド
25ポンド以上(約11キロ)あるような比較的重くて厚いような革をハイドと呼びます。
牛や馬のような体の大きい動物が対象となります。
スキン
スキンはハイドのように重たくなく、小さく軽い革のことをいいます。
こちらは羊や山羊のような体の小さな動物が対象となります。
原皮ができるまで
剥いだばかりの動物の皮は、血や肉などが付いたままとなります。
これらは時間の経過によって細菌の増殖と腐食が進むと、皮全体の品質を著しく低下させていきます。
この問題を防ぐための特殊な処理をキュアリングといいます。
キュアリングでは、固形粒状の塩を散布する散塩法や塩化ナトリウム飽和溶液に浸漬する塩水法、塩生皮を乾燥する塩乾皮、皮を乾燥させる方法などを使って微生物の増殖を抑え、長時間の保存や輸送にも耐えうるような状態に処理を行います。
また、近年は原皮を輸出をする前に鞣剤を使って革を鞣す事例も増えてきました。
代表的なものにはウエットブルーとウエットホワイトがあり、どちらも皮を供給する国が革に付加価値をつけるために行われています。
ウエットブルー
ウエットブルーは、皮をクロムで鞣した湿っている染色前の革ことをいいます。
ウエットホワイト
ウエットホワイトは、植物タンニンを除くクロム以外の鞣剤を使って鞣した革のことをいいます。
こちらもウエットブルーと同様に湿った染色前の革となります。
ウエットホワイトはクロムによる公害への配慮によって生まれた処理方法としてよく利用されており、鞣剤にはアルミニウム塩・チタン塩・ジルコニウム塩・アルデヒド類の合成鞣剤などが使用されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は革製品の元となる原皮について解説しました。
原皮を知ることは、食育や環境問題についての知識を増やす上でもとても大切です。
どのような形で皮が作られているかに興味を持った方は、ぜひ下記の「鞣し」についてのコラムもご覧ください。