世の中に存在する革のなかには、一般的な家畜動物のほかにも爬虫類や鳥類などの皮が利用されています。

それらの違いを知れば、より革製品を使う楽しさが増すはず。

本コラムでは、そんな主な革製品の原皮となる、動物の種類とその特徴について解説します。

エキゾチックレザーとは

エキゾチックレザーとは、爬虫類を中心とした希少動物から採れた革をいいます。

ワニ・トカゲ・ヘビなどの爬虫類以外に、エイ・サメなどの魚類、ゾウなどの哺乳類、ダチョウなどの鳥類の皮が使われています。

また、一般革と呼ばれる、牛・豚・羊などの家畜動物の皮を利用したものは、我々の食の副産物として再利用されているのに対して、エキゾチックレザーは食用とは別の目的で育った動物の皮が利用されています。

エキゾチックレザーの特徴とは?

エキゾチックレザーの特徴は、唯一無二ともいえる特有のツヤ感と模様があることです。

お手入れがやや難しいという点もありますが、使用している動物本来の美しい模様や光沢を存分に味わうことができます。

ただ、一般革とは違い、鞣し製法を問わず、経年変化はあまり楽しむことはできません。

また、エキゾチックレザーには、昔から大きな問題が存在します。

それは、使用している革は、革製品を作るためだけに飼育された動物や豊かな自然に生きる野生動物の皮を利用しているという点です。

上記のような問題は、すべてのエキゾチックレザーにいえることではありませんが、革製品を作るための過度な飼育や乱獲がよく問題視されています。

さらに、皮革素材の価値は動物の飼育年数が短ければ短いほど上がる傾向があるため、比較的若い動物を営利目的で処分するという倫理面についても、頻繁に疑問が投げかけられています。

ただ、近年は上記のような社会問題が広く認知されたこともあり、ハイブランドを中心に、エキゾチックレザーの使用そのものを中止するブランドが続出しています。

ワシントン条約(CITES)とは

世界規模で全滅の危機に瀕する動植物の保護を定めた国際条約のことで、通称「絶滅の恐れのある野生植物の種の国際取引に関する条約」と呼ばれます。

1973年に成立、1980年に加盟した日本を含む世界90か国以上の環境省及び厚生省の大臣がアメリカはワシントンで国際刑事裁判権を持っています。

約14種類の動植物が「商取引が禁止されているもの」や「原産地の輸出許可書が必要なもの」などに区分されており、その区分によって国際取引の規制が設けられています。

違反者には重い懲役刑が課せられることになっています。

エキゾチックレザーの種類

ワニ(クロコダイルレザー)

エキゾチックレザーの代表格であるワニ革。

とても高価な素材として古くから扱われており、クロコダイル・アリゲーター・カイマンの3種類に分類されています。

ワニ革の特徴は、独特の鱗(ウロコ)の模様にあります。

肚部分の小さな鱗を活かした「肚(はら)ワニ」と、背部分の大きな鱗を活かした「背ワニ」があり、どちらも鱗の枚数が多く、配列が整っているものほど高価格で取引がされています。

一般的には、ベルトや時計バンドによく見ることができます。

トカゲ(リザードレザー)

エキゾチックレザーの中で、最もポピュラーであるトカゲの革。

比較的厚く耐久性があり、主に財布に使われています。

背部分にある美しい鱗模様はとても美しく、とくに「リングマークリザード」と呼ばれるものは、鱗のキメが細かく人気の種となります。

ヘビ(パイソンレザー)

繊細な見た目に反して、とても丈夫な素材であるヘビ革。

カラーリングや鱗の模様は種類によって大きく違い、個性的な斑点などの表情を楽しむことができます。

斑紋がダイヤ型のものは「ダイヤモンド・パイソン」、石垣状のものは「モラレス・パイソン」と呼ばれます。

一般的にはニシキヘビが利用されることが多く、財布などに使われています。

また、コブラの革は、希少価値がとても高くなっていることでも知られています。

その他

ダチョウ(オーストリッチレザー)

オーストリッチは、ワシントン条約により、海外から日本国内への持ち込みが禁止されている革となります。

原産地の証明書が必要となるダチョウの革は、丈夫で柔軟性に優れており、表面にある突起(クルマーク)が大きな特徴となっています。

このクルマークはダチョウの羽が生えていた背中のみにみられる表情となり、約半数程度にしかない稀少な表情のひとつでもあります。

ダチョウの革は、このクルマークの密度が高く、なおかつ大きいものになるほど価値が高くなり、クルマークの品質が高いものは「フルポイント」と呼ばれます。

カバ

マットで柔らかな風合いが特徴。

主な原産国は、アフリカ諸国が多くを占めています。

ゾウ

独特のシワに定評があります。

全体的に強く、耐久性に優れています。

アザラシ

カナダ北東部のバッフィン島が主産地。

シールスキンと呼ばれ、毛皮としても使われています。

厚みがありとても丈夫で、畝(うね)のある美しい表情が特徴です。

エイ

スティングレーとも呼ばれます。

細かい粒状の鱗がキラキラと輝いています。

サメ

塩酸で鱗を除いたあと、鮫肌と呼ばれる所以にもなっている楯鱗(じゅんりん)という、硬い表皮を柔らかく鞣すことによって生産されています。

頭から尻にかけて、網目状の模様があります。

革の元となる原皮について。種類や呼称を覚えよう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

動物保護の観点から、なにかと問題点の多いエキゾチックレザー。

エキゾチックレザーを用いた革製品を購入する場合は、きちんとした原産地の確認に加えて、倫理観に基づいた購入判断することが大切です。

※sot(ソット)では、ワシントン条約(CITES)抵触の観点から、エキゾチックレザーを使用しておりません。

一般革について。革の種類や特徴を知る。