世の中に存在する革のほとんどは牛・羊・豚などの家畜動物の皮が利用されています。
それらの違いを知れば、今後の財布や鞄選びの楽しさが増すこと間違いなし。
今回は主な革の種類とその特徴や魅力についてご紹介いたします。
一般革とは
爬虫類などを使用するエキゾチックレザーを除いた革を一般革といいます。
主に牛や豚などの家畜として育てられた動物の畜産副産物のひとつとして革が作られており、世界各地で生産されています。
生産量はその国の食文化や動物の生息数が大きく関係しており、人口の多い中国や畜産業が盛んな欧米が主な主要産地となっています。
日本では豚革であれば国内生産で賄えることが可能となっています。
一般革の魅力
価格が安定している
革の生産量は家畜の数に比例しているため、急激に量が減ったりすることはありません。
ただ、アメリカで以前に流行したBSEなどの感染病などが広まると革の価格は上昇します。
一般革の種類
牛
牛革は革製品の中で最も安定した生産量と供給量を誇ります。
外見上の大きな特徴がないことから加工や染色がしやすく、財布から家具まで幅広いジャンルの製品に使われています。
牛の年齢や性別などによって名称や性質に違いがあります。
主な牛革の種類は以下の通りです。
ハラコ
出産前に死んでしまった雌牛のお腹にいた仔牛や生後間もなく死んでしまった仔牛の革で、漢字では「腹子」と表記されます。
胎児だけに革となる面積が少ない為、高級素材としてハイブランドバッグに使われることが多い革です。
現実にはアニマル柄がプリントされた偽物や皮革全体がハラコと呼ばれることが多いようです。
カーフスキン
生後約6ヶ月未満の仔牛から採れた革。
仔牛なので活動期間が短いことから傷が少なく、特に生後3カ月以内の仔牛の革であるベビーカーフはしなやかな質感とキメの細かい表面で高級素材として知られています。
キップスキン
生後6カ月から2年未満の仔牛と成牛の間の革。
カーフスキンよりもきめはやや粗いものの、表面の傷が少なく、厚みによる強度があるため汎用性が高いのが特徴です。
強度を必要とする革靴などに使われています。
カウハイド / ステアハイド / ブルハイド
カウハイドは生後2年以上経過し、食用の為に去勢された雌牛の革。
ステアハイドは生後3月~6か月の間に去勢した牡牛の革で、共に革製品によく使われています。
品質が良く、厚みがほぼ均一となっているために加工時に扱いやすいという特徴を持ちます。
ブルハイドは生後3年以上の牡牛の革で、革が厚く丈夫な革ですが、やや粗い手触りとなります。
豚
ピッグスキンと呼ばれる豚革は、革の中で唯一国内で完全供給ができる革として知られています。
特徴は柔らかさ、そして軽いこと。
見た目の特徴には、細かな毛穴の跡があります。
この毛穴は大きく、皮膚を貫通しているために通気性のよさにも繋がっています。
摩耗にも強く、ランドセルの内革やバッグの裏地に使用されています。
近年は豚革をメインにした製品も見かけるようになってきました。
馬
馬革は牛革に比べて繊維構造が粗くて薄いために全体的に強度はないものの、手触りが柔らかく、しなやかなのが特徴です。
馬革も牛革と同じく、様々な種類が存在しています。
ホースハイド
牛革に比べてきめが粗いものの、非常に柔らかいのが特徴です。
コードバン
革のなかでも希少価値の高い臀部(お尻部分)を使った“コードバン”は有名です。
コードバンだけは繊維が緻密で硬く、光沢がとても美しいという性質を持っています。
コードバンは日本でも生産されています。
羊
一般的にヤンピーと呼ばれる成羊の革。
柔らかさが最大の特徴となっています。
革の内部には脂肪が豊富に含まれているため、これが断熱性に繋がっています。
生産地は中央アジアがメインとなっており、主に防寒着として使われています。
ラムスキン
仔羊の革。
シープスキンよりもキメが細かく、とても柔らかいのが特徴の高級素材です。
山羊
ゴートスキン
ゴードスキンと呼ばれる山羊の革は、毛穴の形に特徴があります。
手に吸い付くようなしなやかな肌触りと表面の小さなシボが楽しめるのが特徴です。
羊革よりも革は薄いものの、柔軟性に優れており、型崩れもしづらい丈夫な素材として重宝されています。
キッドスキン
仔山羊の革。
ゴートスキンよりもきめが細かいのが特徴。
耐摩耗性に優れています。
その他
鹿
豚革に似た質感を持ち、柔らかく耐水性があります。
代表的なものにはセーム革があり、感触のよい手触りが特徴です。
日本でも生産されており、衣類品や甲州印伝などにも利用されています。
カンガルー
オーストラリアを主な原産とするカンガルー革は、牛革と近い質感でしなやかさがあります。
変形がしずらい素材とされており、高級品です。
トナカイ
カナダの北部やアラスカが原産となる希少品。
カリブスキンと呼ばれ、軽さが特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ご紹介したものの他にも、革には沢山の種類が存在します。
革の種類を知るだけでも、見た目や手触りだけで商品がどんな製品かを判断することもできるようになります。
本革は動物によって特徴が変わるので、ぜひ商品選び際には参考にしてみてください。