革製品の仕上げとは?

革は革でも、「仕上げ」によって、革の特徴が大きく変わることをご存知でしょうか?

20以上にもなる革の仕上げ方法。

仕上げは英語で「finishing」といい、文字通り、皮が革になるまでの「鞣し」における最終工程となります。

今回はそんな仕上げについての解説と、主な仕上げ方法とその特徴をご説明します。

皮の鞣し工程については、下記コラムにて詳しくご説明していますので、ぜひこちらもご覧ください。

鞣し(なめし)とは。皮が革になるまで。

なぜ仕上げをするのか

仕上げは革の価値、そして風合いを変える工程でもあります。

実際に仕上げを行うとどんなメリットがあるのでしょうか。

まず、物理的な問題ですが、革の表面に仕上げ剤を塗布することで、革の耐久性が大きく向上するという効果があります。

そして二つ目に、見た目の美しさを作ることができるという点があります。

自然の産物である本皮は、表面に小さな傷やクセが付いているものが多く、そのような表情を仕上げによって隠してあげることによって、均一性のある美しい革を作ることができるのです。

自然な風合いを残す仕上げ

銀付き(吟付)

革本来の銀面(表面)を生かした革で、染料・顔料を使って仕上げた革のことをいいます。

革の表面を銀面(吟面)と呼びます。

染色方法には、革に透明感を生む「アニリン仕上げ」や、傷や色ムラを消す「セミアニリン仕上げ」、顔料を使った「カバーリング仕上げ」などがあります。

その中でもアニリン仕上げは、革に馴染むと絶妙な光沢感と透明感が生まれ、革の表面にあるトラなどの模様が際立った、革らしい質感を生み出すことができる仕上げです。

ただ、アニリン仕上げはコーティング力が弱い仕上げでもあるので、水分などには十分に注意が必要となります。

いずれにしても銀付き仕上げで作られた革は丈夫で美しく、通気性にも優れており、しっかりと馴染んでくれます。

ヌメ

タンニン鞣しされた無染色、無塗装の革のことをヌメ革といいます。

経年変化が楽しめ、革好きにはたまらない人気の仕上げ方法です。

ヌメ革を知る。エイジングやお手入れ方法など

よく見かけることのある仕上げ

カゼイン

オイルやワックスを革の内部に浸透させた革。

柔軟性、堅牢性に優れる仕上げ方法で、多用されている仕上げの一つ。

グレージング

瑪瑙(めのう)、ガラス、金属製のローラーで圧力を加え、銀面に光沢を出した革。

アンティーク

古びた風合いを出す革の仕上げ方法です。

特殊な薬品を使って摩擦を加えることで、ムラをつくります。

また、革靴では補色クリームを使い、靴をアンティーク調に仕上げる方法もあります。

革の素材感を消し、光沢感を生む仕上げ

メタリック

革に金や銀、クロムなどの金属の箔を張ったものです。

塗料を塗ったものもあり、主にパーティー用など正装に合わせるためのベルトなどに使われています。

エナメル

クロム鞣し革の銀面をなくし、革の表面に油脂または樹脂を塗布して光沢感を出した革。

別名パテンレザーとも言われます。

1800年代にアメリカの皮革製造業者が開発した技術で、仕上げが非常に簡素であるために大量生産ができる点が特徴です。

とくに「エナメル靴」が製品化したものとしては有名で、エナメル仕上げは人工皮革にも使われていますが、本革の製品にも使われています。

ただ、暑さと寒さにとても弱く、夏は熱で表面の樹脂が溶けてしまう危険があります。

また、冬の時期にはひび割れを起こしやすいのでご注意を。

あなたの持ち物は大丈夫?合皮が引き起こす加水分解とは?

ガラス張り

クロム鞣しをした成牛の革を琺瑯板に貼り付けて乾燥させ、革を叩き、バフがけした後に顔料と合成樹脂を表面に塗って仕上げた革。

銀面に傷が多い原皮を綺麗に見せる仕上げ方法として考案され、かつては琺瑯板ではなく、ガラスの板に革を張り付けていたため、「ガラス張り仕上げ」と呼ばれています。

カラフルで安価な点と防水性が特徴としてありますが、革としての味わいはほぼありません。

また、丈夫で手入れが簡単な一方で傷がつきやすく、通気性や伸縮性も悪いという欠点があります。

起毛を行う仕上げ

スエード

仔牛、成牛、山羊、羊の銀付き革の裏面を、非常に細かく起毛した革。

ベロア、ベルベットに近い素材感を持ち、毛足が短く細いものほど良質とされていて価格が高い。

最近では豚革のスエードも流通している。

この「スエード」という言葉は、スウェーデン発祥の技術となっていることが語源となっており、鹿革を起毛加工したものをバックスキンといいます。

ヌバック

牛革の銀面をサンドペーパーで起毛させた革。

スエード・ベロアに比べて毛足が非常に短いのが特徴です。

ベロア

スエードと同じようにサンドペーパーを使って表面を起毛仕上げした革。

スエードよりも起毛が粗く、毛足がやや長い。

ラフでソフト、しなやかな風合いが魅力。

床ベロア

革の銀面を漉き、残った革を起毛させベロア調にしたもの。

起毛素材ベロアとは?ほかの起毛素材との違いを解説。

装飾が魅力の仕上げ

パンチング

円形や三角形、四角形などの連続穴をあけた加工です。

保温性が低下するものの、柔らかく軽量になります。

穴の形によって軽量化の具合が変わるものの、約20%程度軽くなるといわれています。

型押し

革の表面に圧力を加えて模様を付けた革。

ヘビやトカゲ、オーストリッチなどのエキゾチックレザーに模した模様を付けられることが多く、エンボスレザーと同じ意味をなします。

エキゾチックレザーについて。革の種類や特徴を知る。

革を揉む仕上げ

ウォッシュ(揉み)

革を揉んで表面にシボをつけた革。

揉み方によってシボのつき方が変わり、主な揉み方としては水揉み、角揉み、八法揉みなどがある。

革の表情を豊かにするシボとは?シュリンク加工の魅力。

シュリンク

特別な薬品を加えて銀面を収縮させ、シボを生み出す加工です。

揉み仕上げよりもシボが強調されて、大きさにも統一感が生まれます。

その他の仕上げ

ここまでご紹介した仕上げの方法は、主に牛革に使用されるものでした。

ここからは牛以外の革に主に使用される仕上げ方法を中心にご紹介していきます。

セーム

鹿革を油で鞣した革で、手触りが非常によく柔らかいのが特徴です。

印伝

山梨県甲州地方の名産として有名な印伝。

鹿皮を白革に鞣し、染色した後に漆(うるし)で装飾をした革。

毛皮

毛をそのままつけた状態で鞣した革。

床革

銀面を取り除いた床皮を原料とする革。

銀面がないため、非常に強度は弱い。

床革と本革の特徴とは?手入れや経年変化の違いなどを解説

はらこ

子が生まれる前に死んでしまった牛のお腹にいた胎児や、生後間もなく死んでしまった仔牛の革。

毛がついた状態の革で、傷がなく、毛並みがよいのが特徴です。

まとめ

いかがでしたか?

革は革でも、鞣しの最終工程である「仕上げ」によって、革の雰囲気や特性が大きく変わることがお分かりいただけたかと思います。

どの仕上げ方法も個性があって魅力的なものばかり。

sot(ソット)では革本来の魅力を伝えるため、エナメルレザーのように合成樹脂などの化学薬品を使用しない、自然な仕上げ方法をした革を中心に取り扱っております。

ぜひ店頭で仕上げ方法の違いによって生まれる、それぞれの革の魅力をご堪能ください。

エンボス加工とは??その効果と魅力。