革は仕上げと呼ばれる工程によって、革の特徴や見た目が大きく変化していきます。

仕上げはフィニッシングとも呼ばれ、言葉通り皮が革になるまでの鞣しの最後を飾る最終工程となります。

その数20種類以上にもなる革の仕上げ方法。

今回は、主な仕上げの方法の種類と特徴をご説明します。

鞣し(なめし)とは。~皮が革になるまで~

なぜ仕上げをするのか?

仕上げは革の価値と風合いを変えるとても重要な工程です。

仕上げを行う理由は大きく2つあり、ひとつは撥水性や柔軟性を与え、革の総合的な耐久性を上げること、そしてもうひとつが見た目を美しくすることがあります。

革の表面に仕上げ剤を塗布すれば、革の耐久性が大きく向上することができ、これは木製品に漆を塗るのと同じ理由です。

また、元々動物を覆っていた皮は天然素材であるが故に95%以上の確率で表面に自然にできた小さな傷やクセがついています。

そのような傷を仕上げによって隠すことで、均一性のある美しい革を作ることができるのです。

仕上げのなかには革に型を押して、他の革に見せる加工やファッション性のある光沢感を持たせる加工さえあります。

仕上げの種類と特徴

カゼイン仕上げ

オイルやワックスを革の内部に浸透させる仕上げ。

柔軟性と堅牢性に優れていることから、革製品に多用されています。

アニリン仕上げ

透明度が高く銀付き革の加工に最も採用されている仕上げ方法のひとつ。

アニリン仕上げは革に馴染むと絶妙な光沢感と透明感が生まれるのが特徴です。

傷や色ムラを消すセミアニリン仕上げなどもあります。

カバリング仕上げ

着色剤として主に顔料を用いて天然の傷やムラを目立たなくする仕上げ。

塗膜の透明度が低いために革らしい表情を楽しむことはできません。

アンティーク仕上げ

革をアンティーク調の風合いに仕上げる方法です。

特殊な薬品を使って摩擦を加えることでムラを作りだしており、革靴では補色クリームを使いってアンティーク調に仕上げる方法もあります。

オイル仕上げ

動物性の油やグリースなどで表面を仕上げる方法。

滑らかな手触りを生むことができます。

メタリック仕上げ

革に金や銀などの金属の箔を張る仕上げ方法。

塗料を塗ったものもあり、主にパーティー用など正装に合わせるためのベルトなどに使われています。

グレージング仕上げ

瑪瑙(めのう)、ガラス、金属製のローラーで圧力を加えて銀面に光沢を出す仕上げ方法。

エナメル仕上げ

革の銀面をバフィングした後、表面に油脂またはウレタンなどの耐摩耗性で光沢のある合成樹脂を含んだ仕上げ剤を塗布する仕上げ。

別名パテント仕上げともいいます。

1800年代にアメリカの皮革製造業者が開発した技術で、仕上げが簡素であるために大量生産ができる点が特徴で、代表的なものにはエナメル靴があります。

エナメル仕上げは人工皮革にも使われていますが、本革の製品にも使われています。

暑さと寒さにとても弱く、夏は熱で表面の樹脂が溶けてしまう危険があります。

また、冬の時期にはひび割れを起こしやすいのでご注意を。

型押し仕上げ

革の表面に熱と圧力を加えて型を押し付ける仕上げ。

ヘビやトカゲなどのエキゾチックレザーに模した表情を意図的につくることができます。

エンボス仕上げと同じ意味を持ちます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

革は鞣しの最終工程である仕上げによって、革の雰囲気や特性が大きく変わることがお分かりいただけたかと思います。

どの仕上げ方法も個性があって魅力的なものばかり。

sot(ソット)では、革本来の魅力のある自然な仕上げ方法を施した革を中心に取り扱っております。

ぜひ店頭で仕上げ方法の違いによって生まれる革の表情の違いをご堪能ください。

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