革の本場ともいわれるイタリア。

そんなイタリアで生まれるレザーは、「イタリアンレザー」とも呼ばれ、世界中の革好きに愛されています。

今回は“世界三大レザー”のひとつ、イタリアンレザーの魅力と特徴に加え、イタリアでなぜ革産業が盛んになったのかを歴史とともに解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

イタリアンレザーとは

一般的にはイタリア国内で生産されたヌメ革のことをイタリアンレザーと呼びます。

革の生産量はあまり多くなく、世界第16位となっていますが、そのクオリティーの高さから、ブライドルレザーとコードバンと並ぶ世界三大レザーのひとつに数えられています。

特にイタリアのトスカーナ州は革産業が盛んで、イタリア旅行のお土産としても人気となっています。

イタリアの革の歴史

ローマ帝国の繁栄とともに発達した革産業

古代ローマでは、他国に比べてかなり早い段階で革の本格的な流通が行われたとされており、すでにいくつかの革屋と革職人が存在したといいます。

当時、革は馬具や歩兵の靴(ガリガ)や盾(パルマ)といった、領土拡大には欠かせない軍事品に多くが使われていた歴史があります。

華やかさが生まれたルネサンス時代

遡ることイタリアはルネサンス時代。

芸術的で華やかなこの時代に革の加工が、芸術の都=フィレンツェで普及しました。

国が威厳をかけて芸術に携わるあらゆる産業をバックアップしたこの時代、フィレンツェでは革の金銀装飾や彩色、型押しなどの加工技術が主に発達しました。

イタリアンレザーの代名詞ともいえる“バケッタ製法及びバケッタレザー”が誕生したのもこの時期。

豊かなイタリアの土壌で育った木々から採取したタンニンを使うこの鞣し方法は、鞣しに時間はかかるものの、高品質で柔軟性のある革を作ることのできる特別な鞣し方法としての地位を確立しました。

その後ルネサンス時代の先駆者でもあるメディチ家の衰退により、華やかな革の加工技術は一時衰退するものの、イギリスの産業革命後に皮革の需要が世界大戦や資本主義の台頭により一気に大きくなります。

また、1950年代~1960年代の第二次世界大戦後の復興に伴う急激な経済成長が、イタリアの皮革産業の成長を後押ししました。

バケッタレザーとは。トスカーナの伝統的な鞣し製法によって生まれる革

地方によって違う革の特徴

革大国イタリアには、各地域にタンナーと呼ばれる革を鞣す工場が点在しています。

また、その地域によって作っている革も少しずつ異なり、大都市ミラノのあるイタリア北部ロンバルディア州では、主に靴や革製品用の牛革・羊革・山羊革の生産が盛んな地域です。

ロンバルディア州のお隣、ヴェネト州では家具に使われる革の生産が盛んで、南部のカンパーニャ州ではアパレル用の羊革の生産が盛んなど、地域によってその特徴が大きく異なっています。

世界有数の皮革地帯

トスカーナ州ピサ県のアルノ川周辺は「革の首都」と呼ばれるほど、皮革産業が特に盛んな地域として知られます。

古くから農業が盛んなこの地域の人々は手先の器用なものの、その生活は常に厳しく、鍛冶屋や左官屋、肉屋などを兼業して必死に生きてきた歴史があります。

その中のひとつとして革屋に従事する者が自然と増加し、現在に至ります。

イタリアンレザーの特徴

革の魅力が詰まったヌメ革

イタリアンレザー最大の特徴は、なんといっても革本来の表情とエイジングでしょう。

丁寧に時間をかけて鞣された革は優しい手触りと見た目をしていて、使っていくほどに革内部に含まれた豊富なオイルが表面に張り付くことで生まれる魅力的なエイジングが楽しめます。

育ちの良い牛革を使用

イタリアンレザーの原皮のほとんどは牛革です。

牛革は他の動物の革に比べると、比較的手に入りやすく、安定した供給があるのが特徴です。

イタリアをはじめ、欧州で育つ牛は広大な土地で伸び伸びと育つため、とても良質な原皮となるのです。

豊かな土壌がタンニンをつくる

イタリアンレザーの鞣しに欠かせないタンニンは、ミモザやチェスナットいった植物から採取されます。

元々イタリアはこういった植物が育ちやすい土壌を持ちます。

特に地中海に面したイタリアのテラロッサと呼ばれる、果樹栽培にとても適した土壌で育った植物から採れるタンニンは最高品質とされています。

このような上質なタンニンで鞣された革は柔らかくしなやかで、しっとりとした手触りと発色のよさが特徴となります。

タンニン鞣しとは。自然の恵みタンニンについても解説。

代表的なタンナー

イタリアには世界的に有名なタンナーがたくさんあります。

今回はその中のいくつかをご紹介させていただきます。

バダラッシカルロ社

バダラッシカルロ社はイタリア大手のタンナーで、プエブロレザーミネルバボックスレザーといった特徴的な革をこれまでに世に送り出してきました。

バダラッシカルロ社について。革好きなら知っておきたい有名タンナー

ワルピエ社

トスカーナ州の老舗タンナーであるワルピエ社。

同社の革は、伝統的な技法により時間を惜しむことなく作られた最高級革が多いのが特徴。

ステアという成牛のショルダー部分を使用した丈夫で美しい見た目が特徴です。

ワルピエ社について。ブッテーロを生み出した名門タンナー

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

革も国の歴史や畜産環境によって、その性質や魅力が変わってきます。

イタリアンレザーは世界でも評価されている最高品質のレザーです。

ぜひあなたもイタリアンレザーの魅力を体感してみませんか?

タンナー特集。世界や日本の有名タンナーをご紹介