革を鞣す鞣剤に利用されるクロム。

現在、流通しているほとんどの革がクロム鞣しを施したものであり、クロムが革に与える様々な効果は数多くあります。

今回は、そんなクロムの特性やクロム鞣し革の特徴などをご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください。

クロムとは?

クロム鞣しの元となるクロムは天然鉱石から採れるミネラルの一種であり、別名:クロミウムともいいます。

生産地は南アフリカが主な産出国となり、カザフスタンやトルコなど世界各地で産出されています。

クロムは耐食性に優れており、錆びにくいことから金属としてメッキ加工に使われたりなどされています。

クロム鞣しについて

クロム鞣しは代表的な鉱物鞣しのひとつで、塩基性硫酸クロム塩とよばれるクロムを含んだ化学薬品を鞣し剤に用いた鞣し製法のことを言います。

塩基性硫酸クロム塩の他には、硫酸クロム・重クロム酸ナトリウム・カリウム塩・クロム塩などが鞣剤に用いられる場合もあります。

この鞣し製法は、1800年代後半にドイツで開発された比較的新しい製法であり、その後アメリカの科学者によって実用化されました。

特に19世紀から20世紀に世界大戦が起きたことで軍用革製品の需要が拡大したのに伴って、一般的な鞣し製法になるまでになりました。

クロム鞣しは、大きな回転式のドラムに原皮とクロム鞣剤を入れて一挙に鞣しを行うという、工程がとても簡単で作業効率が高い製法となっています。

他の鞣し製法に比べて約半分程度の期間とコストで革を作ることが可能であり、量産ができることで一枚あたりの革の価格を抑えることができるといった経済面での圧倒的なメリットが特徴です。

現在、クロム鞣しは鞣し製法の主流にもなっています。

流通している革製品のほとんどがこのクロム鞣し革となっており、インテリア用品からファッション用品まで幅広い製品に利用されています。

現代主流となっているクロム鞣しを解説!

クロム鞣し革の特徴

クロム鞣し革には、以下のように数多くの特性があります。

耐久性だけでなく、耐水性なども持ち合わせるクロム鞣し革はとても使いやすいのが特徴です。

  • 柔軟性
  • 弾力性
  • 耐熱性
  • 耐水性
  • 染色性
  • 伸縮性

基本的にクロム鞣し革の風合いはソフトです。

弾力性や伸縮性も高く、さまざまな革製品に対応できる性質に仕上げられています。

耐水性や耐熱性にも優れており、水分に強く、高熱にも耐える性質を持ち併せています。

欠点としては、可塑性がほぼない点です。

良くも悪くも、クロム鞣し革は使うほどに柔らかくなるといった“馴染む”という性質はほとんどなく、植物タンニン鞣し革にみられるような味わい深さのある革とはいえません。

いづれにしてもクロム鞣し革にかない特徴もあるため、革製品を選ぶ際は素材の鞣し製法を調べて特徴を比較するとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、クロム鞣しに用いられるクロムについてご紹介しました。

クロムはさまざまな用途に使用される特別な元素であり、革製品以外の業界でもよく利用されています。

環境への負担が近年問題にもなっていますので、気になる方はしっかりと素材を選ぶ際に鞣し剤の確認をするとよいでしょう。

鞣し(なめし)とは。皮が革に変わる瞬間。