“タンニン鞣し”

この言葉を聞いたことがある、もしくは知っているという方は革好きの方には多いのではないでしょうか?

今回はタンニン鞣し革の特徴、鞣しに使われる「タンニン」にも焦点を当てながら解説していきます。

ぜい最後までご覧ください。

タンニン鞣しとは

タンニン鞣しとは、天然の植物から採取した樹木の渋(タンニン)などの有機化学物質を利用した鞣し製法です。

タンニンを抽出する場合には原材料となる植物を細かく粉砕し、水に浸して抽出されます。

主要な原産国はアフリカや南米、ヨーロッパで、主にミモザやケブラチョ、チェスナットといった木から採取されています。

このタンニン鞣しは先史時代からあったとされる最も古い鞣し製法で、現在主流となっているクロム鞣しに比べて革の鞣しに数倍の時間がかかるといわれています。

タンニンとは?

では次に、タンニン鞣しに使われるタンニンについて解説していきましょう。

まず、タンニンは植物の中に含まれる「ポリフェノール化合物」の一種です。

一般的には植物から採取されたタンニンを“植物タンニン”と総称します。

タンニンの語源はフランス語で、革の鞣しに昔使われていた「オークの木の革を細かく砕いたもの」を意味します。

一口にタンニンといっても、実はタンニンは様々な分野で使われている成分で、我々のような皮革産業で使われる名称は「タンニン」と呼ばれますが、他分野ではその呼び名が変わり、木材工業では「リグニン」、食品や医薬分野では「タンニン酸・カテキン・フラボノイド・ポリフェノール」などと呼び名を変えて使われています。

じつは身近にあるタンニン

意外にもタンニンは我々の身近なところに多く存在しています。

例えば日本人にとって欠かせないお茶の葉。

さらには柿やワインやコーヒー豆にもタンニン成分が豊富に含まれています。

タンニンはこれら果実を含む植物の木質部や葉、樹皮、枝や実、根にまで含まれており、動物や寄生虫などによって傷つけられることを防いだり、厳しい気候条件や水質条件による悪環境から植物を守る役割を担っています。

タンニンは、植物の種子が安全に他の場所に運ばれる為に存在する、とても大切な要素なのです。

タンニンが鞣しに使われる理由と特徴

革の耐久性を大きく向上させる

動物の皮の内部繊維に含まれるタンパク質や脂肪、不純物を除いて硬い革を軟化させ、革製品として加工しやすい状態にするのがタンニンです。

タンニンで鞣された革には独特の風合いと下記の効力が生まれます。

  • 耐熱性
  • 屈曲性
  • 成形性
  • ボリューム感

また、タンニンは革に通気性と吸収性がもたらし、悪臭の原因となるバクテリアの増殖や不快な臭いも防ぎます。

②環境によいタンニン鞣し革

タンニン鞣しは最も一般的な鞣し方法である、鞣し剤にクロム塩を使用する「クロム鞣し」とは真逆の鞣し製法です。

クロム鞣しは短期間で革を鞣すことで安価になり、また風合いも統一されて綺麗で人気ですが、適切に処理しないと非常に汚染される可能性のある廃棄物が発生します。

一方、タンニンはこれまでご説明したように、自然の副産物なので全く環境を汚染することはありません。

クロムは金属の一種なので、アレルギーを引き起こす可能性がありますが、100%天然素材のタンニンレザーはアレルギーにデリケートな方にも安全です。

鞣しでよく使われる原材料はケブラチョ、チェスナット、タラから採れるタンニンです。

植物タンニンの抽出にも化学添加物は一切使用せず、お湯を使用するだけ。

最初は液体状のタンニンですが、乾燥の工程を経て、貯蔵・輸送により適した着色粉末に変化します。

③タンニン鞣し革の醍醐味である経年変化

上画像(左が未使用品、右が使用約3年)

タンニン鞣し革ならではの“革の味わい”について解説しない訳にはいきません。

原皮の表情をそのまま活かしたタンニン鞣し革は「革によって違う風合い」と「愛着の湧く素晴らしい経年変化」が最大の魅力。

鞣し作業における手間が大きい分、価格面では他の種類の鞣し革には劣りますが、革本来の美しい表情の変化を楽しみたい方から長年圧倒的な人気と支持を得ています。

また、革の香りと呼ばれるあの独特な香りは、実はタンニンの香りなのです。

癒しを与えてくれるような香りもお楽しみいただけます。

タンニン鞣しの歴史

タンニンが革の腐食を防ぐ効果があると人々が知ったのは、人類が皮を利用し始めて間もないころだったといわれています。

タンニン成分を含む落ち葉が浮かぶ池などに、動物の死骸があったものの、肉以外の皮の部分が腐っていなかったことが発見の要因となったといわれています。

以降、諸説ありますが、植物タンニンが革製品の鞣しに本格的に使われ始めたのは約100年前のイギリスで、当時の皮の鞣しは主に木材のオークを使って実験を繰り返しながら行っていましたが、オーク材のタンニンは非常に濃度が低く、鞣しに時間がかかり、タンニンの効果を充分に活かすことができていませんでした。

この状況を踏まえ、研究者がより多くのタンニンを含んだ植物を探し求めます。

世界中を駆け回って探し求めた結果、オーク材以外にも様々な植物にタンニンが含まれていることがわかったのでした。

また、同国ではビールやワインなどの樽を作るための材料として、タンニンを豊富に含むオークが利用され、ワインの味や風味が変化させる技術も手に入れたのです。

このように昔の人々は、様々な経験と事柄から、タンニンの可能性と利用方法を見出したのです。

ここまでタンニンについて解説してきましたが、このタンニンそのものにどんな効果があるのか、そしてなぜ革の鞣しに利用させれているのかを知っている方は少ないでしょう。

ではタンニンが皮の鞣しに使われるとどんな効果があるのかを詳しくご紹介していきましょう。

sot(ソット)の植物タンニン鞣し革を使用したレザー

sot(ソット)の多くの製品にはご紹介した植物タンニン鞣し革が多く採用されています。

その中でも特に植物タンニン鞣しを施す技術が高いイタリア・トスカーナ州の世界的タンナー「バダラッシ・カルロ社」によって生み出される、プエブロレザーミネルバボックスレザーはsot(ソット)の中でも人気のシリーズです。

良質なタンニンを使って鞣された素晴らしい革をぜひご覧ください。

このほかにもsot(ソット)では国産の革を積極的に採用しており、国内最大の革の産地である栃木県や兵庫県は姫路のタンナーで独自に開発したオリジナルレザーを使った革など、数多くのタンニン鞣し革を使っています。

天然の恵みから作られた革ですので、風合いや豊かな手触りもお楽しみいただけます。

エイジングはどうして起こるのか。綺麗に色を変化させるコツもご紹介。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はタンニンについて深く掘り下げて解説しました。

革だけでなく、ビールやワインの色合いや風味を変えるタンニンですが、今では技術の向上によってその可能性と用途もさらに広がりつつあり、動物の肥料、インクや繊維、ダンボールにも使われています。

はるか昔から継承されて、今日に至るタンニン鞣しの革。

環境保護が最大の地球における課題となった昨今、鞣しの工程で排出する排水や廃棄物には勿論のこと、焼却時にも有害物質を生まない点でもタンニン鞣しは評価され、注目されています。

そんな環境に優しいタンニン鞣し革を使った革製品をあなたも選びませんか?

鞣し(なめし)とは。皮が革になるまで。