イタリアには、植物タンニン鞣し革協会(PELLE CONCIATA AL VEGETALE IN TOSCANA)と呼ばれる大きな協会が存在します。
その特徴は、加盟しているタンナーすべてが厳しい審査を通ったタンナーに限られていること。
革の品質はもちろんのこと、製造過程で伝統的製法を使用するなどの規則に則った上で、世界に誇るイタリアのトスカーナの革を生産しています。
この協会について詳しく知れば、製品選びの際にも安心!
ぜひ最後までご覧ください。
協会について
イタリア植物タンニン鞣し革協会は、イタリアはトスカーナ州の製革産業地区で事業を営む20以上ののタンナーによって構成される非営利団体です。
同州のピサ県に本部を置くこの協会は1994年に設立され、20年以上に渡って植物タンニン鞣し革を世界市場に広めるためにプロモーション活動に携わってきました。
このようにトスカーナ州に拠点を置くタンナーをまとめ、世界に輸出されたした革の品質と原産地を証明するのがイタリア植物タンニンなめし革協会の主な役割となっています。
植物タンニン鞣しは、先史時代にまでさかのぼることのできる極めて古い歴史をもつ加工法です。
鞣し工程は当時と変わらない、植物の抽出物のみが用いられています。
トスカーナに伝わるこの伝統的な革鞣しの技法を今の世代にも伝え、父から子へと受け継がれてきた貴重な職人技の保護を最先端のテクノロジーを駆使して行っています。
保証書について
協会に加盟しているタンナーで生産される革には、協会のロゴマークとシリアルナンバーがプリントされた保証書が発行されており、対象の革製品の一つ一つに付属しています。
手のひらの図柄は、革製品などの手工業性からイメージされており、長い伝統の継承者である鞣し職人の親方たちの手のひらと情熱が造形化されています。
この保証書には、偽造防止グラフィック技術が駆使されており、シリアルナンバーは革の提供業者と製品を製造するメーカーに関連づけられています。
加盟しているタンナーが革製品にこの保証書を付属させて販売するためには、協会が定める厳しい条件や規則を遵守しなければなりません。
まず、最も大切な条件の一つには、生産工程すべてがトスカーナ州内で行われなければならないと定められています。
そのほかにも様々な厳しい規則があり、さらに遵守状況は定期的に第三者機関のICEC(皮革生産地区品質検査認証機関)によって検査が行われています。
工場への立ち入り検査、ならびに国際見本市において各タンナーが正しく品質表示タグを利用しているかどうかの検査も行われます。
このように、イタリア植物タンニン鞣し協会が発行するこの保証書は、トスカーナで作られた天然素材を原材料にして、適法な工場において労働者の保護と環境の持続可能性に配慮しながら、職人技と手作業の加工によって生まれた製品だということを証明しているのです。
協会が大切にしていること
トスカーナの伝統を伝えていく
何世紀にもわたって製法が大きく変わることなく継承されてきた植物タンニン鞣しによって生産される革製品はトスカーナ州の特産品にもなっています。
国内の職人が中心となったモノづくりを重んじる、イタリア製品を象徴しているこの伝統と文化を継承するため、協会では革の生産の指導と法的規制を行い、その特色を世界中のメーカーと消費者に広めることにあります。
さらにはその分野に従事する職人の保護と原材料の生産が盛んな地の過疎化も防ぐことに繋がっています。
環境に配慮したモノづくり
近年は消費者が持続可能性のある環境に配慮した商品の購入を積極的に行うようになりました。
- 廃棄物の回収から生まれる新しい商品
- 廃棄物そのものを減らすというブランドの動き
特にこの2点への関心は年々高まりつつあり、イタリアの革業界もこの変化の影響を受けている業界の一つです。
ただ、革新的=環境保護、伝統的=汚染ということが常であるとは限らず、持続可能な未来の解決策が伝統的なことであることもあります。
植物タンニン鞣し革はまさにその例。
革づくりに必要なものは、天然の動物の皮と植物から抽出されるタンニンなどの天然物質だけであり、製造過程で人体と環境に有害な物質を使わないこの製法は、地球環境が悪化するいまの時代において、消費者の商品購入の意思決定の重要性を持ちつつあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、イタリアの植物タンニンなめし協会についてご紹介しました。
世界中で生産されるアパレル商材の73%が最終的に埋め立て処分、または焼却されており、モノの製造過程において有害物質の排出をこれまで通り各社が続ければ、状況がさらに悪化する可能性は否定できません。
イタリア植物タンニンなめし革協会とトスカーナ州の産業地帯は、イタリアで唯一、環境管理・環境監査規則の認定(EMAS)を受けるなど、常に考え方を柔軟に変えた環境に優しいモノづくりの価値を再発見させようと積極的に取り組んでいます。
あなたも地球環境に配慮した、植物タンニン鞣し革を使いませんか?