世界には数多くの革を生産する「タンナー」が存在します。
今回は、イタリアはトスカーナ州ピサ県に拠点を置く、ブレターニャ社(Conceria la Bretagna)をご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
ブレターニャ社について
ブレターニャ社は、革の世界的産地である、イタリアはトスカーナ州・サンタクローチェに位置する小さな村「ポンテ・ア・エゴラ」にあるタンナーです。
1961年にジョヴァンニ・テスティ氏が同社を創業。
創業当時からの信念である「品質の高いものを作り続ける」をモットーに、常に熱心に革と向き合い、故郷トスカーナの伝統や革の鞣し製法について積極的に学んできました。
その過程において、古来よりトスカーナに伝わる伝統的な革の鞣し方法であるバゲッタ製法に魅了され、この伝統的な鞣し方法を後世に継承していくことに大きなこだわりが生まれたそうです。
画像引用:https://www.labretagna.it
現在はジョヴァンニ氏、そして息子のシモーネ氏とパオロ氏の3人が中心となって経営を行うブレターニャ社。
イタリア国内だけでなく、世界市場でも順調にシェアを伸ばしています。
「販売が順調だからといって、今までの積み重ねを壊すような製品は絶対に作らない。」とパオロ氏は語っています。
この発言からも今の製品に自信と誇り、確固たる信念を持っているのが窺えますね。
フランス産の原皮に最大の敬意を持って
ブレターニャ社の正式名称は「Conceria la Bretagna」で、conceriaはイタリア語で「皮なめし工場」、Bretagnaはフランスの土地、ブルターニュ地方を意味しています。
「なぜイタリアのタンナーなのにフランスの土地名を付けるのか?」と思うかもしれませんが、これは同社が創業同時から原皮をフランスのブルターニュ地方から多く仕入れていることが所以です。
ブルターニュ地方に数多く生息する風見鶏は、ブレターニャ社のロゴマークになっており、このロゴマークにはフランスの国旗をイメージした「トリコロール」のカラーリングを採用しているなど、国を超えて皮の原産地をリスペクトしていることが分かりますね。
ブレターニャ社はトスカーナ州の植物タンニン鞣し協会にも加盟しており、自然由来で環境負担の少ないタンニンを使った鞣しと、トスカーナ州に古来より受け継がれるバケッタ製法を取り入れた丁寧な革作りを行っています。
自然の力を革づくりに生かす
ブレターニャ社は牛のショルダー部分の革の鞣しに非常に特化しています。
先ほどご紹介したバケッタ製法、そしてタンニン鞣しに加え、染色も化学薬品を使わず、ひとつひとつを職人が行うというこだわりぶり。
今日も自然の偉大さと恵みを忘れずに革作りを行っています。
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エコムラレスレザー
ブレターニャ社を代表する革のひとつに、エコムラレスレザーがあります。
sot(ソット)でも人気のこのエコムラレスレザーは、ご覧の通り全体を金色に仕上げた、なんとも珍しい見た目を持つ革。
上質なフランス産原皮のショルダーを使用し、タンニン鞣しされたものです。
表面には贅沢に箔のコーティングが丁寧に施されており、箔は職人による手作業で削られ、独創的で奥行きのあるグラデーションが感じられます。
箔の部分は使用しているうちに徐々に剥がれいき、この箔の下に眠るヌメ革が、革らしい色味と共に表面に現れ、最初とまったくと言っていいほどに違う表情に変化する革となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
親子3人が力を合わせ、良質なレザーを全世界に発信し続けるブレターニャ社をご紹介しました。
そんな素晴らしいタンナーが生んだエコムラレスレザー。
ぜひエコムラレスレザーでしか味わえない、意外性のある経年変化をお楽しみください。
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