世の中に存在するすべての皮と革を指す言葉として使われる皮革。
今回は、そんな皮革の種類や構造についてご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
皮革とは
皮革は動物の生皮と、鞣しを施した革や毛革を総称する言葉です。
読み方は(ひかく)。
皮革という言葉は、漢字にも記載されている通り、鞣しとよばれる加工をしていない状態のものを指す「皮」と、鞣しをした状態を指す「革」の両方が含まれています。
本来、動物の皮から成る革を指す言葉ではあるものの、近年は天然皮革に姿を似せた合成皮革(合皮)のような異素材にも使用されています。
皮革の歴史
皮は人類の誕生以降、いつの時代にも生活に欠かすことのできない必需品として衣類や家具などに使用されてきました。
日本は欧州に比べて肉食の文化が発達するのが遅かったことから、生活の中に革が用いられるのが遅かったものの、生活スタイルの欧米化によって一気に革の需要が増加した過去を持ちます。
古くは獣や魚の油を使い、焚火の煙などを使って革を燻して保存性を高めていたとされ、風や雨から身体を守る衣服を作っていました。
有名な事例では、1991年にイタリアとオーストリアの国境に近いアルプス氷河から発見されたアイスマンがあります。
アイスマンは5300年前に生きた男性とされ、革の衣服を身に着けた状態で発見されました。
当時ヨーロッパは青銅時代でありながら、すでに革製品がよく利用されていたことがよくわかります。
しかしながら近年は合成皮革や人工皮革のような軽く強い素材の需要が高まったことで、皮革の需要にも変化が起きています。
皮革の種類と部位
私たちの身近にある革製品のほとんどは牛革をはじめとする哺乳類の家畜動物の皮から作られており、牛のほかには豚や羊などがよく利用されています。
また、エキゾチックレザーと呼ばれるような鳥類や爬虫類の革も数多く流通しています。
皮革は基本的には一枚単位で取引が行われています。
部位ごとに特性が異なるため、裁断を行ったうえで取引されることもあります。
皮革の構造と特徴
皮革は、繊維状のたんぱく質であるコラーゲンの束と繊維束が複雑に絡み合った表皮(ひょうひ)と呼ばれる皮の一番外に位置する部分と、その表皮の下にある乳頭層と網状層を合わせた真皮(しんぴ)に皮下組織を加えた3つの層から構成されます。
動物の種類によってある程度の差はあるものの、皮の構造はほぼ同じとされています。
日本の皮革産業
主要産地
国内の皮革産業で最も有名なのが兵庫県の姫路市です。
姫路市で作られる革は通称=姫路レザーとも呼ばれ、国内で生産される革の約7割を占めています。
その他には栃木県や和歌山県などが主要産地となり、東京都の東墨田区は豚革の生産が盛んな地域となっています。
皮革の魅力
天然素材ならではの魅力
近年の日本では、モノの消費から心の充足を重視するような傾向が顕著になっています。
他の素材に比べて価格が高い皮革もまたこの影響を受けて再注目を浴びており、その耐久性や風合いが人気を集めています。
環境にやさしい素材
皮革は主に食肉産業の副産物などが利用される環境にやさしい天然素材となっています。
皮革産業では、革を生産するにあたって大量の汚水や異臭を出すこともあることから、あたかも環境に悪い産業のように思われることもありますが、実際には日本や欧州諸国の皮革産業に関連する企業では高機能な排水処理施設や再生可能エネルギーを使用するなどした環境負担のない方法で革づくりが行われています。
汚水は常時浄化されてから海や川に排出されるようになっており、皮革工場から発される臭気も広範囲に拡散するものではありません。
皮革についてもっと学ぼう!
皮革や皮革産業についてよく学べる施設が都内を中心に日本全国に存在します。
下記の施設などでは、皮革に関する資料や貴重な展示品を見ることができます。
気になる方はぜひ一度訪れてみてはいかかでしょうか?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は皮革についてお伝えしました。
ご紹介した資料館や展示会を巡れば、より革製品に詳しくなれること間違いありません。
sot(ソット)では、皮革についての情報をコラムにて発信しています。
ぜひそちらも併せてご覧ください。