今回は革を模した素材、合皮(合成皮革)についてご紹介します。
メリットやデメリット、そして環境にはどのような影響があるのでしょうか。
ぜひご覧ください。
合皮とは
合皮のメリットとデメリット
まず合皮素材のメリットはなんと言っても安価ということです。
合皮は大量生産大量消費を見込んだ製品に使われる素材なので、革に比べて生産コストを安く抑えることが可能です。
性質としてはプラスチックビニル素材が故、とても軽く、防水の面でも優れています。
また、手入れが要らないことも本革に比べると大きなメリットと言えそうです。
一方、合皮のデメリットは数か月~数年で表面がボロボロになってしまう加水分解とよばれる症状などが確実に起こることや、柔軟性や通気性が低いこと、熱に弱い点が挙げられます。
また環境への悪影響も見逃せません。
合皮は大きく分けて2つに分類される
合皮には主に2つの種類が存在します。
ひとつ目がポリ塩化ビニルを使用したPVC、そしてポリウレタンを使用したPUです。
どちらも合皮素材としては有名で、生活のあらゆるものに使われています。
どちらも安価ですぐに劣化してしまう点は同じですが、他にはどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
PVCレザー(ポリ塩化ビニル)
PVC(レザー)はポリ塩化ビニル樹脂を基布と呼ばれる下地に塗り込んだものをいいます。
私たちの身の回りの品に多く使われているPVCは、ソファーなどにもよく使われています。
また一部ハイブランドのバッグにも見ることができます。
メリット
- 耐水性がある
- 汚れに強い
デメリット
- 熱に弱く溶ける
- 表面がボロボロになる
- 通気性がない
PUレザー(ポリウレタン)
一方PU(レザー)は、ポリエステルやナイロンといった基布にポリウレタン樹脂を接着剤で貼り付けたものをいいます。
こちらはジャケットなど、ファッションアイテムによく使用されています。
メリット
- 汚れに強い
- 軽い
デメリット
- 加水分解を起こす
- 異臭がすることがある
合皮に手入れは必要なの?
ここまでご紹介したように、合皮は革ではありませんので、お手入れが不要です。
合皮の劣化でよく見る色の欠けやひび割れ(加水分解)が起きたとしても、実は元通りにするような方法はないため、合皮素材の製品は消耗品と考えるのがよいでしょう。
ただ、管理方法の徹底をすれば劣化スピードを鈍化させることもできるといわれています。
表面の汚れを掃除には、一部革用のクリーナーも使えます。
リンク:コロニルクリーナー
合皮が与える環境への悪影響
合皮は天然の素材ではない為、決して土に還ることはなく、処分するには焼却が必要になります。
石油製品でもある合皮は、燃焼時に有害物が出たり、製造までの過程でマイクロプラスチックが河川や海に出てしまう可能性があります。
石油製品を燃やすと、二酸化炭素と有害物質が空気中に排出され、有害物質の数割は地上や海洋に吸収されるといわれており、人間を含む動物の内部に侵入することによって機能障害を引き起こします。
このように合皮は地球環境や人体にも回りまわって悪影響を及ぼしていることは知っておきたい事実です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は合皮(合成皮革)の特徴と意味についてご紹介しました。
近年では本革の見た目に近い合皮が作れるようになりましたが、合皮は本革とは全く違う性質を持ちますので、くれぐれも間違えないようにお気を付けください。