均質な製品が主流となってから、モノの価値は、“ずっと永く使い続けること”よりも、“すぐに捨てられ、すぐに買い替えられる”ということに重きが置かれるようになりました。

その一方で、自分自身の価値観を優先したり、その時々の流行りを考することなく、本当に自分が気に入ったものものを永く使い続けるという風潮も強まっています。

そんな時代のなか、いま再び注目されているのが、天然皮革。

天然皮革という素材は、それぞれが唯一無二の表情をしており、その個性的な風合い、“素材を育てる”という体験をさせてくれます。

この記事では、「天然皮革」について解説します。

天然皮革とは?

天然皮革とは、動物の皮を使用した皮革素材のこと。

ただ、天然皮革という言葉が生まれたのは、比較的最近のこと。

その理由として、その見た目と風合いが天然皮革によく似ている、合成皮革、人工皮革が発明されたことがあります。

これらの素材は、本来皮革素材ではないものの、“皮革”という言葉が後ろに付いているがために、「皮革」という言葉の意味の区分けをしなければなりませんでした。

そこで生まれたのが、「天然皮革」という言葉なのです。

しかしながら、普段「天然皮革」という言葉自体は、あまり使われておらず、“本革”と言い換えられていることがほとんどとなっています。

天然皮革の特徴

天然皮革には、コラーゲンの繊維層があります。

それら繊維層の絡みは、かなり複雑であるものの、動物が活動をするための“合理的な構造”であるともいえます。

その構造の影響によって、多種多様な特徴を持っています。

すべてが長所とはいえませんが、それもまた天然素材が故といえるかもしれません。

放湿性と吸湿性

「天然皮革は、呼吸をする」ともいわれます。

その言葉のとおり、とても吸湿性に優れています。

それは、天然素材特有の特徴でもあり、木綿の肌着の着心地がよく、ずっと人々に好まれているのがよい例です。

また、水蒸気を吸収すると発熱するというような現象があります。

この“吸着熱”といわれる現象もまた、天然素材特有の特徴のひとつ。

近年、冬の寒さを抑えるような発熱性のある服が話題となっていますが、天然皮革もまた、発熱性のある素材となっているのです。

可塑性がある

可塑性(かそせい)とは、物質に圧力を加えて変形をさせたとき、新しい形を長く保ち続ける性質のこと。

そのため、天然皮革を用いた製品は、比較的容易に形を変えることができます。

一般的な革靴なども、着用を続けていくことで、ゆっくりと足に馴染んでくるのは、可塑性があるからなのです。

燃えにくく、熱を伝えない

かつては、火消し役の防火服として利用されていたほど燃えにくく、熱伝導性が低くなっています。

そのため、製鉄所などの高温となる現場などでは、天然皮革の靴が使用されています。

ただ、湿潤時に加熱される場合は、例外となります。

天然皮革の主成分は、コラーゲンなどの“タンパク質”。

約100°以上の高温が湿潤時に加わると、コラーゲンの“熱変性”が起こり、収縮、硬化します。

ですので、万が一濡れてしまっても、アイロン、ドライヤーなどを乾燥させるために使用してしまうと、天然皮革が脆くなってしまうのです。

そもそも“皮革”とはどんなもの?あなたの暮らしを支える素材。

寸法、重量が変わる

天然皮革は、乾燥が進むと、素材が縮んで、やや軽くなります。

また、湿度が高い場所では、素材が伸びて、やや重くなります。

皮革製品が馴染みやすくなる要因となる一方、保管環境を間違えると、製品の劣化に繋がるといえます。

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色落ち、色移りする

天然皮革の染色堅牢度は、比較的劣っていると考えたほうがよいでしょう。

また、鮮やかな色をしているものほど、耐光性が劣るとされているので、長期間保管する場合には、直射日光を避けることが賢明です。

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水に濡れると、風合いが変わる

天然皮革は、多少の水分を含んだだけでは、鞣しの効果が落ちることはないとされています。

ただ、その風合いについては、元の状態に戻せないほどに変わってしまうこともあるので、気をつけなければなりません。

また、水分が抜けるとともに、乾燥が進みます。

乾燥が進むと、収縮、硬化することがあります。

カビが生える

カビの発生は、ある一定の温度、湿度になると起こります。

天然皮革についていえば、あらゆる汚れが原因となって、カビが繁殖しやすくなります。

もともと、天然皮革は、周囲の汚れが吸着しやすい素材。

スエード、ヌバックなど、起毛加工が施されているものなどは、できるだけ汚れないようにしておきましょう。

そしてなによりも、天然皮革を使用している製品は、できるだけたまに取り出して、余計な湿気を除いてあげましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

天然皮革は、水濡れなどに注意する必要があることや、それぞれの個体差が大きいことなど、お薦めできる性質ばかりがあるわけではありません。

ただ、それらもまた、天然の素材であるが故。

もしあなたが、モノを選ぶとき、その均質さ、手軽さを優先するのであれば、もっと選択肢があることでしょう。

それでもなお、天然皮革が長く愛され続けているのは、愛用することで深まっていく風合い、ひとつひとつの個性に対して、たくさんの人々が魅力を感じているからにほかなりません。

わたしたち人間と同じように、完璧ではないからこそ湧いてくる愛情が、そこにはあるのかもしれません。

天然皮革には、そんな計り知れないほどの使用価値があります。

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