世の中に存在する革のほとんどは牛・羊・豚などの一般的な家畜動物の皮が利用されています。

それらの違いを知れば、より革製品を使う楽しさが増すはず。

本コラムでは、そんな主な革製品の原皮となる、動物の種類とその特徴について解説します。

一般革とは

爬虫類などが使用された、エキゾチックレザーを除いた革を一般革といいます。

多くの革製品には、牛・羊・豚などの一般的な家畜動物の皮が利用されています。

上記のような革は世界各地で生産されており、生産量はその国の食文化や動物の生息数が大きく関係しているといわれています。

なかでも、人口の多い中国やインド、そして畜産業が盛んな欧米が主な主要産地となっています。

また、日本は豚革においては海外輸出が行われるなど、国内生産で賄えることができる環境となっています。

一般革の特徴とは?

一般革の生産量は、家畜の数に比例しているため、急激に量が減ったりすることがないため、価格と生産量が安定しやすいという特徴があります。

ただ、アメリカで2000年代初頭より発生した、BSEなどの問題が起こると、一般革の価格は上昇します。

一般革の種類

牛革は一般革のなかで、もっとも安定した生産量と供給量を誇ります。

繊維の性質に大きな欠点がないことから、使用用途がとても広くなっています。

また、裁断や染色といった加工もしやすく、幅広いジャンルの革製品に使われています。

牛革は年齢・産地・性別などによって名称や性質に違いがあります。

 ハラコ

出産前に死んでしまった雌牛の腹中にいた、仔牛または生後間もなく死んでしまった仔牛の革のこと。

漢字では「腹子」と表記されます。

身体の小さな仔牛の皮は採取できる面積が少ないため、その稀少性から高級素材として知られています。

一般的には、ハイブランドのバッグなどに使われています。

 カーフスキン

生後約6ヵ月未満の仔牛の革。

仔牛は動物としての活動期間が短いことから傷が少なく、生後3カ月以内の仔牛の革であるベビーカーフは、さらにしなやかな質感があり、カーフスキン以上の高級素材として知られています。

 キップスキン

生後6カ月から2年未満の仔牛と成牛の間の革。

カーフスキンよりもきめはやや粗いものの、傷は少なく、厚みによる強度があるため、汎用性が高いのが特徴です。

一般的には、強度が必要となる革靴などに使われています。

 カウハイド・ステアハイド・ブルハイド

カウハイドは、生後2年以上が経過した、食用に去勢された雌牛の革のこと。

ステアハイドは、生後3月から6か月の間に去勢された牡牛の革で、カウハイドと同じく革製品によく使われています。

どちらも品質が良く、厚みがほぼ均一となっているために加工がしやすいという特徴を持ちます。

また、ブルハイドは生後3年以上の牡牛の革で、厚く丈夫なのが特徴ですが、やや粗い手触りとなります。

牛革について。種類や特徴の違いを学ぶ!

ピッグスキンと呼ばれる豚革は、唯一日本国内で供給ができる革となっています。

豚革の大きな特徴は、軽量で柔らかいことにあります。

また、表面には独特な毛穴のある模様があり、毛穴が皮膚を貫通している影響で通気性にも優れています。

さらには摩耗にも強く、バッグの裏地やランドセルの内革に使用されています。

豚革について。東京で生産される最も身近な革

馬革は、繊維構造が粗く、さらには薄いために強度はないものの、しなやかで柔らかい点が特徴です。

馬革は牛革と同じように、いくつかの種類に分類がされてます。

ホースハイド

きめが粗いものの、とても柔らかいのが特徴です。

コードバン

馬革のなかでも希少価値の高い、臀部(お尻部分)を使った革。

他の部位に比べてとても繊維が緻密で硬く、光沢がとても美しいことから、通称:革のダイヤモンドとも呼ばれています。

また、コードバンは国内生産もされています。

一般的にヤンピーと呼ばれる成羊の革。

脂肪が豊富に含まれているため、断熱性と柔軟性に優れています。

主な生産地は中央アジア。

一般的には、防寒着に使われています。

ラムスキン

仔羊の革。

シープスキンよりもきめが細かく、とても柔らかいのが特徴です。

羊革について。寒い地域で重宝される革

山羊

ゴートスキン

ゴートスキンと呼ばれる山羊革は、毛穴の形に特徴があります。

肌触りは手に吸い付くようにしなやかで、柔軟性に優れています。

また、薄い革ながら型崩れがしづらい素材としても重宝されています。

表面には小さなシボがあります。

キッドスキン

仔山羊の革。

ゴートスキンよりもきめが細かいのが特徴であり、耐摩耗性に優れます。

山羊革について。高級品にも使われる丈夫な革

その他

鹿

豚革に似た柔らかな質感を持っており、耐水性に優れています。

代表的なものにセーム革があり、感触のよい手触りが大きな特徴となっています。

鹿革は日本国内で積極的に生産がされており、衣類品や甲州印伝などにも利用されています。

カンガルー

オーストラリアを主な生産地とするカンガルーの革。

牛革のようにしなやかさがあり、さらには変形が起こりにくいという特徴があります。

一般的には生産量が少ないため、高級素材として扱われています。

トナカイ

カナダ北部やアラスカが生産地となるトナカイの革。

カリブスキンと呼ばれ、軽量なのが主な特徴です。

革の元となる原皮について。種類や呼称を覚えよう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ご紹介した革のほかにも、一般革には沢山の動物の皮が使われています。

その種類や特徴を知っておけば、革製品がどんな素材を使っているかを正しく判断することができるようになります。

革製品を選ぶ際には、ぜひどの革が使われているかを調べてみてはいかがでしょうか?

エキゾチックレザーとは。革の種類や特徴を知る!