人類が生まれてからこれまでずっと使われている天然皮革。
近年、合成皮革や人工皮革が多く流通するようになったにも関わらず、なぜ人々をこれほどに魅了し続けるのか、その理由を探ります。
天然皮革の定義や素材の基本的な構造、メリットやデメリットについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
天然皮革とは?
天然皮革は動物の皮を使用した天然素材のひとつで、本革と同じ意味をなす言葉となります。
合成皮革や人工皮革といった新しい素材が誕生して以降、本当の意味での皮革とそうでない皮革を言語上分別がしやすいようにこの言葉が作られました。
一般的には本革という言葉が使われる機会のほうが圧倒的に多く、天然皮革という言葉自体が使われることはあまりありません。
また、天然皮革は牛・馬・羊・山羊などの皮を剥いだ後の状態を指しており、これら哺乳類のほかに爬虫類や両生類の皮も使われています。
動物から剥いだ皮は放置し続けることによって自然と腐ってしまうため、腐食しないように加工されます。
これを鞣しといいます。
この鞣しを行う前の状態を「皮」、行った後の状態を「革」といいますが、天然皮革という言葉は両方の漢字を使っていることからもわかる通り、どちらの状態をも指す言葉となっています。
天然皮革の特徴と見分け方
天然皮革かどうかを見分けるには、素材の断面を見ることが基本となります。
天然皮革にはコラーゲン繊維層と呼ばれる層があるため、断面をみると木が土の中で根を張っているような見た目をした層をしっかりと確認することができます。
近年は合成皮革や人工皮革が製造技術の進歩によって、天然皮革と見間違えるほどになりました。
こういった影響もあり、天然皮革製品と合成皮革や人工皮革製品を間違えて購入してしまったという方も絶えません。
確実に天然皮革かどうかを見分けるには、断面を見るだけでなく、その製品のタグに記載されている素材情報をよく読んだり、販売を担当するスタッフに直接質問することをおすすめいたします。
メリットとデメリット
天然皮革の特徴は鞣しの方法によって大きく変化するものの、メリットには以下のような特徴が共通して挙げられます。
- 通気性
- 吸湿性・放湿性
- 耐熱性・遮熱性
- 可逆性
古くから衣類や家具に使われてきた天然皮革は、どのような環境でも使いやすいという大きな特徴があり、さらに使うほどに繊維としての耐久性などが向上していくといった特性を持っています。
こうした特徴は天然素材ならではであり、合成皮革や人工皮革には無いメリットになります。
また、デメリットには比較的価格が高いことが挙げられるでしょう。
天然皮革の手入れについて
天然皮革の手入れの方法は革の鞣し方によって異なります。
例えば植物タンニン鞣し革とよばれるようなエイジングが楽しめる素材であれば、定期的なブラッシングやクリームの塗布を行うことで美しい色艶の変化を味わうことができるのはもちろん、製品をより長持ちさせることが可能となります。
革製品の詳しい手入れの方法についてはこちらのコラムをぜひご覧ください。
天然皮革と環境問題
自然の恵みともいえる天然皮革は、長期的に土に還ることのできるエコ素材でもあります。
食品副産物から生まれるこの素材は、石油製品である合成皮革や人工皮革とは大きく異なり、燃焼時に有害物の排出や製造時にマイクロプラスチックが河川や海に排出されることもありません。
このように天然皮革は、他の素材に比べても環境負担が少ないエコ素材であることは疑いの余地がありません。
これは環境問題が叫ばれる今の時代を生きる上で知っておくべき事実だといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、天然皮革の基本的な特徴をご紹介しました。
天然皮革は通気性がよく、耐久性にも優れる素材です。
動物の皮という天然素材を使っているため、環境負担が抑えられることから近年はその需要も高まりつつあります。
ぜひあなたも天然皮革の魅力を革製品を使ってみませんか?