革の厚さは動物の種類や部位によって異なります。
この革の厚さを製品の用途に合わせて薄くする加工を「革漉き(かわすき)」といいます。
革漉きは縫製を円滑にするだけでなく、製品の仕上がりの美しさをも大きく左右する重要工程。
今回は、そんな革漉きの必要性と種類をご説明します。
革漉きとは
革漉きは革の厚みを均一にするために行う加工のひとつで、縁(へり)を削り落とす加工も含めて革漉きといいます。
この加工は2つの方法があり、漉き機と呼ばれる専用の機械を使う方法と、ナイフを使って手で行う方法です。
革漉きをする理由
革を裁断した後、それらを組み合わせて成形します。
このとき、ミシンなどを使って縫製を行いますが、革と革が重なった部分が厚ければミシン針は刺さらず、縫製することはできません。
そこで行うのが革漉きであり、皮を必要な厚さに薄くすることで縫製を円滑にします。
縫製する部分だけを革漉きするだけではなく、製品を理想の重さにするために革全体を漉くこともあります。
革漉きの種類
ご紹介した以外にも、革漉きはそれぞれの目的によってさまざまな種類の加工方法があります。
いつくか代表的な加工方法をご紹介します。
ベタ漉き
革全体を漉いて厚みを調整します。
語源は「べたべたに漉く」から。
襠(マチ)部分によく施されています。
へり漉き
コバ付近だけを漉き、へり返しをしやすくします。
折れ漉き・溝漉き
革を折りやすくするために、中央部分に溝を作るように加工します。
革を曲げた時に、折り目がきれいに見える効果があります。
切れ目漉き
革と革が複数重なる部分を漉くこと。
銀取り
革の表面は目には見えない汚れや油分によって、革を接着する際に使用するのりなどの効果が落ちてしまいます。
そこで行うのが銀取りです。
革の銀面(表面)を薄く削って革の繊維質を露呈させることによって、のりが繊維と絡み、接着力が向上します。
革漉きには2つの方法がある
機械を使う
革漉き機は1900年代にドイツで発明されました。
今ではこのような機械を使うことが一般的になっています。
機械には細かなパーツを漉く小型のものと、革全体を漉くことができるような大型のものまで、その種類は様々です。
一見簡単そうに見える作業ですが、機械を扱う技術や革の特徴を正確に捉える能力が必要となるため、革漉きを行う職人によって仕上がりにも大きな差が生まれます。
包丁を使った手漉き
革は革でも部位によって革の柔らかさや厚みも違います。
そんな特徴の違いを巧みに調節できるのが手漉きのメリット。
包丁を使うこの加工には時間と集中力が必要となるため、現在では機械が使われることが一般的となりました。
レザークラフトのような趣味の世界では、この手漉きを楽しむ方も多くいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、革製品を作るうえで欠かせない革漉き加工についてお伝えしました。
この加工は製品の表側からは見えない部分に施されていることが多いため、直接漉いた部分を見る機会はあまりありません。
しかし、革漉きをした製品は軽くスマートで、コバや縁部分が美しいという特徴があります。
革製品を見る際には、ぜひ革漉き加工部分にも注目してみてくださいね。