みなさんは、コバという言葉をご存知でしょうか?
なかなか耳にすることがないかもしれませんが、革好きの方の中には「知っている!」という方もいらっしゃるでしょう。
まず、「コバ」は、革をカットした「裁断面」のことを指します。
意外にも裁断面は革製品にとって、非常に重要な役割を担っているんです。
今回はそんな、コバの魅力や役割、お手入れの仕方などについてご紹介してきます。
コバとは
コバは漢字で「木端」と書きます。
もともとコバは木の端の部分、つまりは木材の裁断面のことを指す言葉でした。
革のコバ部分もこの木の「木端」と同じ意味を充てられ、「木端」という表記にとなりました。
また、革の断面が木材の裁断面に、見た目がそっくりで似ているといった意味合いも含まれているのだそうです。
コバはなぜ重要なのか
革を使ったバッグや小物のコバ部分は、職人の手により見た目をより綺麗に整えられて製品化されるのが一般的です。
一部の革製品には「切り目仕立て」といったコバを隠さず、むしろその状態を活かしてデザインされたものもありますが、コバをそのままの状態にしておくと、革の線維がほつれてしまって起こる「革と革の貼り合わせ部分の割れ」や「コバの黒ずみ」などが起きてしまいます。
皆様のお財布も一度はコバ部分の割れを見たことがあるのではないでしょうか?
なので、コバの仕上げそのものは製品の美観と耐久性を大きく左右する重要なポイントとなるのです。
これでも「コバなんて気にする必要がない。」と思っていませんか?
それがなかなか馬鹿にできないのです。
次にコバの処理(メンテナンス)方法をご紹介していきましょう。
コバの処理
上記のような状態にならないよう、美しい状態を保てるようにコバを保護し、美しく見せる加工が「コバ塗り(コバ処理)」です。
コバ塗りとは専用の薬品や道具を使ってをコバを保護する加工のこと。
コバは想像以上に製品を傷から守っているとお伝えしました。
しかしその分、コバには必ずその負担が傷みとして現れます。
車で言えばバンパーのような役割を果たしているコバは、重要かつ、非常に傷みやすい箇所でもあるのです。
今使っている革製品のコバの状態が気になるという方は、これからご紹介する4つのアイテムを使って、コバの処理をしていきましょう。
コバ塗りに必要な道具
- スリッカー
- 綿棒
- コバ塗り仕上げ剤
- やすり
以上の4つが必要になります。
スリッカーや仕上げ剤がないという方は、スリッカーを目の細かい布で代用したり、仕上げ材を水で代用することが可能です。
コバ処理の方法
まずコバ処理をするにあたってまず大切なのが、“コバの下処理”です。
革の裁断面には、多少の凹凸や革と革の貼り合わせ部分の段差があるので、まず最初にこの部分を丁寧にヤスリを使って表面が滑らかになるまで整えます。
次に、革専用の仕上げ剤を塗り込み、その後スリッカーとよばれるコバ磨きに欠かせない道具を使って磨いていきます。
スリッカーは側面の凹面をコバ処理剤を含ませたコバ面に擦り合わせ、摩擦をかけ磨いていきます。
全面を均等の力で磨いていくことが綺麗にコバを磨くポイントとなり、一見とても簡単そうに見える作業ですが、強く磨きすぎると色が濃くなってしまうなど、全てが台なしになるので職人にとっては気の抜けない作業ともいえます。
仕上げに余分な水分を布で取り除けば終了です。
<コバお手入れ前>
<コバお手入れ後>
上記の画像2枚を比べてみていかがでしょうか?
コバは普段あまり注目されることのない部分ですが、コバが綺麗だと、製品全体の表情が引き締まって光沢も加わり、より美しく見えることがお分かりいただけると思います。
ただ、いくらコバ塗りがされている製品やコバの手入れをしたものでも、やはり長く使用する中でコバ部分にもダメージは蓄積していきます。
その過程では、糸のほつれや色の脱色が再び発生するので、定期的なケアを心掛けましょう。
また、コバ処理でよく使用されるコバインクは、なかなか扱いが難しいとの声もありますので、一度上記の方法からお試しされることをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか?
コバ塗りは長く製品を使うために非常に重要な加工のひとつだとお分かりいただけたかと思います。
どれだけ革製品の表面を綺麗にしていても、コバが傷んでいれば、革製品の本当の美しさは表現できません。
逆に、コバが綺麗であれば、革の持つ本来の美しさを楽しめるということです。
また、コバ塗りをしていない、または簡単な顔料を塗っただけのものは塗料が簡単に剥がれてしまう性質があり、製品の耐久性が大きく左右されます。
そのため、是非商品の購入前にコバの部分にも注目してみてください。
また、ひどい色の退色や欠けがある場合は、補色処理をすることをおすすめします。
詳しくは下記のコラムをご覧ください。