革靴のひび割れは、履き続けることで生まれる劣化現象です。
一度ひび割れを起こした革靴を元の状態に戻すことはほぼ不可能なので、注意が必要です。
今回は、このひび割れが起こる要因と対策方法をご紹介します。
革靴のひび割れについて
革靴のひび割れは別名:クラックとも呼ばれ、一般的に革靴のアッパー部分によく見られます。
革靴の形に関係なく、一定期間履き続けると、履き皺から発生することがほとんどです。
ここまでの説明だけでは単なる「履き皺」に過ぎないと思うかもしれません。
しかしながら、このひび割れを放置して悪化させてしまうと革が裂けて、革靴が履けない状態にまでになってしまうこともあるんです。
また、ひび割れは革靴全体の見た目も大きく損うため、身だしなみを整える意味でも、きちんと対策を講じる必要があるでしょう。
ひび割れの原因
乾燥は最大の原因
ひび割れを引き起こす最大の原因は乾燥です。
革は定期的にクリームを塗布するなどして、革の内部に油分を含ませたり保湿することが大切ですが、革が極度に乾燥すると油分が枯渇して柔軟性と弾力性が急激に低下します。
乾燥した革は繊維がとても割れやすくなり、足の動きによる革へのストレスがひび割れとなって現れたり、履き皺の状態が悪化したりします。
こうした状態が長引くと革靴にひびが次々と入り、結果として革が裂けるなどの大きなダメージに繋がるのです。
雨や水分の蒸発
雨に濡れることも原因の一つです。
じつは雨に濡れること自体はさほど大きな問題ではなく、濡れた革靴を乾燥させる際に水分と一緒に革内部に元々含まれていた油分が一緒に蒸発してしまうことが一番注意すべき点です。
油分が蒸発すると乾燥が起き、先ほどご紹介した流れで革靴が劣化していくのです。
ケアクリームの蓄積
お手入れ用のケアクリームの拭き忘れがひび割れの原因になることもあります。
革靴には目には見えないクリームの層が蓄積されています。
これらを丁寧に拭きとらなければ、革の表面に残ったクリームが硬化して、革の柔軟性を低下させていきます。
クリームがひどく硬化した部分は、その後どれだけ新しいクリームを塗っても固まったクリームが邪魔となって革の内部に浸透しません。
クリームが新たな層がとなって硬化していくと、さらに革の状態が悪くなるという負のループも生まれます。
このように革靴のひび割れはただの劣化現象ではなく、日々の使い方やケアの質によっても起こるという特徴もあるのです。
ひび割れを治すことは可能?
ここまで読めば、ひび割れの最大の原因が乾燥であるということがお分かりいただけたと思います。
この乾燥を防ぐのに利用したいのが、乳化性のデリケートクリームです。
乳化性のデリケートクリームは「油」と「水」でできており、水が入っていることで革への浸透力があるのが特徴です。
油分は適度に抑えられている為、表面に残された余分な油分が要因となるシミやムラも起きにくいという特徴もあります。
あまりに油分が多いクリームの使用は革の硬化に繋がってしまうなど、取り扱いが難しい面がありますが、乳化性のクリームはお手入れに自信がない方でも扱いやすいので、ぜひ一度お試しください。
乾燥がひどい場合には月数回のペースで蜜蝋クリームを塗布するとよいでしょう。
また、帰宅後に革の保湿をしたのち、革靴にシュートリーを入れて履き皺を伸ばしてあげることも大切です。
細かな皺が気になる革靴にピッタリとサイズの合うシュートリーを入れて、革をピンと伸ばしてあげましょう。
ただ、シュートリーを乾燥した革靴に使用してしまうと靴の内部から革に圧をかけてしまい、ひび割れがさらに悪化するという逆効果が起こる可能性があるのでご注意ください。
他にも、ヤスリで軽くひび割れた部分を削ったり、革靴用のパテで傷を埋めるなどの方法もありますが、いずれもケア初心者にはハードルが高いといえるでしょう。
まずは革の保湿を行うとともに、シュートリーの利用をご検討ください。
かなり深刻な状態のものがあれば専門の革靴修理業者に依頼するのもよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は革靴ひび割れについてお話しました。
このひび割れは長年使っていると起こる経年劣化の1つと言われますが、ご紹介したように日々のケアの質などによっても起こる場合があります。
適切なケアを行うことで、ひび割れの発生や色移りも防ぐことができます。
より長く革靴を使い続けるためにも、乳化性クリームやシュートリーを活用して革靴のひび割れ対策を行ってみてください。