東京は台東区・浅草。
大小問わず、多くの革靴工房が点在するこの地で、sotが手掛ける革靴シリーズ「sot shoe」は製造されています。
今回は、sot shoeの中でも圧倒的な存在感を放つ「プエブロレザープレーントゥシューズ」が作られる現場を取材。
一体この靴はどのように作り上げられているのか。
その工程を細かくお伝えします。
最後にはこの靴の製作に携わっている職人さんからのメッセージも掲載していますので、ぜひご覧ください。
ここで革靴が生まれている意味
工房に入るとふわっと香る、革と木材が混ざったの匂い。
一面に積み上げられた革と木型が私を出迎えてくれました。
今回ここで取材した商品は「プエブロレザープレーントゥシューズ」。
この商品を含むsotの革靴は、マシンを頼りにつくる「マシンメイド」と距離を置いた、ハンドメイドでその大部分が作られています。
マシンメイドが普及する中、ハンドメイドにこだわるのは、「製品作りに責任を持つ」という意識と、この靴に使用しているような本革では、そもそも機械で対応ができない部分が多いという理由から。
ハンドメイドでしか込めることのできないクラフトマンシップがしっかりと込められる瞬間。
革靴と向き合う時間が流れる工房を覗いてみましょう。
製品ができるまで
今回の取材では一部工程のみの取材となりましたが、改めて革靴ができるまでの工程を簡単にご紹介していきます。
①いい靴には理由がある ~木型(ラスト)/ 型紙~
まず、靴の木型に沿って、紙の型紙を作り上げていきます。
立体的な木型を平面の型紙に落とし込むのは、見た目以上に難しいといいます。
最終的な履き心地を頭でイメージしながら時間をかけて行います。
②光る職人技 ~裁断 / 縫製~
型紙ができたら、革を裁断していきます。
革の特徴や部位による違いを常に考えながら、使う部分を見極めていきます。
全てのパーツが揃ったら、縫製し、徐々に靴が平面から立体的なものに変わっていきます。
③耐久性をもたらす重要ポイント ~カウンター / 釣り込み(吊り込み)~
カウンターと呼ばれる作業は、かかとやつま先など、靴の根幹となる部分が変形しないように芯を入れる作業です。
釣り込みは多くの方が革靴を作るシーンで真っ先にイメージされる部分かもしれません。
釘を使って、革をしっかりと伸ばしながら中ソールに密着させていきます。
釣り込みをした部分とソールを組み合わせれば、完成は目の前。
釣り込み作業で使用する、釘抜き・トンカチ・ペンチの機能が合わさった特別な道具
④マニュアルのない“感覚”と“感性” ~ラスト/フィニッシュ~
この靴には行われない作業ですが、革全体を磨いたり、色をわずかに変えていく作業が行われます。
革の反応を見ながら丁寧に作業を行います。
フィニッシュは職人の長年の感覚がものを言う世界。
職人の技術力が大きく問われる作業なのです。
この取材を通して感じた特別感
淡々と、誇りを胸に製造されていた
「この靴だけは特別なんです。」
そう言ってくれたのは、今回この工房を紹介してくれた工房の広報担当の方。
プエブロレザーの性質は、他の靴で使用している革と全くと言っていいほど異なるため、この靴には特別な管理を徹底しているのだとか。
オイルを沢山含んだプエブロレザーは、微量な熱や湿度にも反応するため、革の保管方法から気を使っており、製作ではたった一人の職人だけが、この靴の製造を専任しているそうです。
わずかな革の表情や、部位によって異なる様々な革のクセをしっかりと見抜けるようにしているんですね。
釣り込み時に打った釘と中央にシャンクが取り付けられている
釣り込み作業は時間をかけて、職人が力加減をわずかに変化させながら、一足一足を丁寧に作り込んでいる姿が印象的でした。
接着剤などを乾かす時間も他の靴に比べて長く、使用しているパーツや作業工程も多いのだそう。
どれだけ頑張っても一日に作れるのはたった7足というのも驚きです。
改めてわかったこの靴の魅力
紙、樹脂、革が混合した特別なソール。この靴だけに製作したとのこと
革靴を履く楽しさもありながら、足の健康も害さない。
この考えを忠実に再現したこの革靴は、スタイリッシュなコーディネートにもぴったりと合うように、少し細めの木型を使用しているので、20代~30代の男性にも使っていただきやすい靴に仕上がっています。
なにも革靴は、スーツだけに合わせるフォーマルなものだけではない。
スニーカーと革靴を比べるべきではありませんが、いつかは革靴が欲しいなんて思っている方にぜひおすすめしたい一足です。
職人より皆様へ
「端正を込めて作ったものなので、大事に長く愛していただけたらとても嬉しいです。
皆様と直接お会いする機会は多くありませんが、履いてもらえていることが職人のなによりものやりがいです。
新しい靴の製作も、使っていただいた靴の修理も。
靴の状態関係なく、心を込めて丁寧に作業を行っています。
心を込めているからこそ、修理でこの靴が一度ここに里帰りしてくれるのも、とても嬉しいんですよ。
釣り込みを終えた部分を滑らかにする作業
私自身、この革が大好きで、経年変化によって革の表情が変わっていくところは見ていて楽しいし、このプエブロレザーを使って靴を作れることは単純に嬉しいです。
コストに合わせて、理想から何かを妥協(引き算)していった先に生まれる製品が多い中で、sot shoeは「こういうのが作りたい」というデザイナーの気持ちが先走っての企画、製造、販売されていくのが素敵だなと思っています。
そう、この靴は “引き算ではなく、足し算でできた靴” なんですよね。
他の靴にはないこだわりが多く、かなり手間がかかっていますが、皆様にもその理由がきっとご理解いただけると感じていますので、ぜひ一度履いてみてください。」
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この取材を通して感じたこと。
それは革靴ができるまでの工程は、想像以上に手間暇がかかるということです。
さらには革の型紙からインソールの素材、作業に使う接客剤の調合までもがこの靴の為に特別に作られていることに驚きました。
sotが手掛ける革靴ライン「sot shoe」では、履きやすい・革の楽しさが感じられる・修理が可能で、長く愛用できる。の3つの要素を大切にして製造、販売をしています。
今回ご紹介したメンズシューズ以外にも、レディースサイズの靴も販売中です。
ぜひオンラインストアにてご覧ください。
最後に、今回取材に応じてくださった皆様、どうもありがとうございました。
リンク:【MEN】 プエブロレザー プレーントゥシューズの商品ページ