近年、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが進んでいます。
日本の皮革産業では、各社が食品ロスという大きな課題に対しての取り組みが行われており、食の副産物に含まれる豊富なタンニンを利用した、新しい革の鞣し製法の研究開発が急速に進められています。
本コラムでは、そんな食の副産物から生まれる、様々なサステナブルレザーを紹介します。
サステナブルレザーとは?
鞣しに必要な要素とは?
一般的に皮革を鞣す際に使えるものは、ポリフェノール・色素・油分を含んだものに限られます。
植物タンニン鞣し革によく使われている、チェスナットなどの木から抽出されるタンニンは、これらの成分をバランスよく含んでいることから、鞣し剤として最もよく使われています。
また、鞣し剤となる材料の生産量と供給量の安定は、革製品の価格に大きく関わります。
上記のような理由から、一般的な植物タンニン鞣し革には、天候によって生産量が左右されにくい、木から採取したタンニンが使われています。
しかしながら、近年は地球環境保護の観点から、木々を伐採せずに済むような、環境負担の少ない鞣し製法から生まれた、サステナブルレザーの企画が行われてきました。
また、消費者の環境保護に対する意識と製品の選び方も数年で大きく変化してきたことで、皮革業界も時代に合わせた製品づくりが必要になっています。
積極的な研究と目的
食の副産物の活用については、食物の生産者側も食品ロスの課題解決に向けて、生産過程で生まれた副産物の有効的な活用方法を模索する業者が増えています。
“環境への負荷を減らしたい”という気持ちが、食品産業と皮革産業を強く結びつけたことにより、食の副産物を使った、サステナブルレザーの研究が進められることになったのです。
あらゆる食の副産物を利用した、サステナブルレザー
茶殻
飲料メーカーと協力して生まれた、お茶殻を使った革。
美しい深い緑は、日本の伝統を感じられる革といえます。
また、質感はしっとりと優しく仕上げられています。
ワイン
タンニンを豊富に含む、ワインのワインポマース(搾りかす)を利用した革。
ポリフェノールも豊富に含まれており、しなやかさな質感が特徴となっています。
籾殻
日本人の主食であるお米。
籾殻と糠(ぬか)から採取したポマースオイルを活かした革は、豊潤さのあるしなやかさな質感になっています。
研究が進んでいる、サステナブルレザー
珈琲
全世界で日々大量に消費されている珈琲豆。
珈琲豆は、皮革の鞣しに必要なポリフェノールの含有量が高く、現在は焙煎後の豆を使った革の開発が進んでいます。
柿渋
タンニンを豊富に含んでいる渋柿は、植物タンニン鞣し革と同じく、太陽などの光に当てることによって、徐々に経年変化を遂げていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
樹木から採取できるタンニン以外を使って皮を鞣すには、熟練した技術力と供給量の安定が欠かせません。
これからどんな副産物を使った皮革が生まれてくるのか、ぜひ注目です。