光を浴びてきらめく瞬間と、経年変化によって深まっていく色。

金属の一種である真鍮は、研磨することによって輝きを簡単に取り戻すことができ、また、経年変化によって味わいのある色味へと変わっていく、どこか不思議な魅力を持った素材といえます。

その変化を日々の生活のなかで楽しむことができれば、あなたの革製品が、世界にひとつだけのものへと育っていきます。

この記事では、革製品によく使用される“真鍮”について解説します。

真鍮とは?

真鍮とは、銅と亜鉛の混ぜ合わせた“合金”のこと。

読み方は「しんちゅう」とされ、別名:黄銅(こうどう、おうどう)と呼ばれることもあります。

また、英語訳は「ブラス」。

一見馴染みのない言葉のように思えますが、トランペットなどのような金管楽器のみを使用する楽団をいう「ブラスバンド」という言葉の語源となっています。

温かみのある色

亜鉛を含んでいるため、やや赤みがかった黄金色をしています。

その含有量によって、やや色味が変わることはありますが、ほとんどの場合は、温かみと高級感が感じられる色となっています。

汎用性に優れる

一度熱を加えることによって、その形を自由に変えることができるという性質のある真鍮は、その加工性のよさから、デザイン性が求められるような製品に使われています。

例えば、革製品に見られるような金具類などがよい例です。

また、普段の生活でよく見るものには、五円玉などがあります。

そのほか、熱伝導率のよさを活かした、コンセントの内部素材などにも使われています。

経年変化による味わい

新品の真鍮は、光沢感がありますが、酸化、湿気などによって、次第に色が深くなっていきます。

光沢感はなくなっていくものの、アンティーク調の色味に変化していく姿は、真鍮素材ならではの“味”として楽しむことができるでしょう。

金具の腐食を防ぐメッキ処理。その種類と効果を解説。

 

お手入れについて

ふたたび輝く

真鍮は、研磨剤などで磨くことで、光沢感をいつでも取り戻すことができます。

研磨剤のほか、重曹や塩、ヤスリで磨くといった方法があります。

お手入れをしなければ、真鍮の光沢はなくなっていきます。

ほかの金属とは違い、無垢な素材である真鍮は、空気中に含まれる水分や湿度に弱いため、変色がしやすいということを頭に入れておきましょう。

重曹

重曹と水を混ぜて、半固形状にします。

その後、やわらかい布に取り、真鍮部分を擦っていきましょう。

仕上げに、しっかりと洗い流して、乾拭きをしてください。

レモン汁

レモンに塩を付けて、真鍮部分を擦っていきましょう。

レモン汁に含まれる酸と塩の効果により、酸化膜を落とすことができます。

仕上げに、しっかりと洗い流して、乾拭きをしてください。

研磨剤

研磨剤をやわらかな布にとり、小さな円を描くようにして磨いていきます。

“くすみ”を取ることができたら、きれいな面で拭き取りましょう。

仕上げに、乾拭きをしてください。

サビを見つけた場合・・・

真鍮金具の周りには、青緑色をした緑青(ろくしょう)と呼ばれる“サビ”が付着しやすくなります。

緑青は放置しておくこともできますが、できるだけ除去しておくとよいでしょう。

金属周りに付着する緑青とは。気になる落とし方をご紹介。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

真鍮という素材は、磨けば輝き、経年変化をすれば深い味わいが楽しめる、表情豊かな金属。

その表情の変化は、どれだけの時間をともに過ごしたのかを示してくれる、“記録”のようなもの。

もともとの輝きを保つのもよし、手間をかけて育てるもよし。

真鍮を使った製品は、あなたと過ごした時間とともに表情を変え、深い愛着を持たせてくれるものとなります。

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