革を鞣す鞣剤に利用されるクロム。

現在、市場に流通している革製品のほとんどが、このクロムを使って鞣されたものとなっています。

この記事では、そんなクロムの効果などについて解説します。

クロムとは?

クロムとは、元素のひとつ。

クロム化合物自体は、主に南アフリカをはじめ、カザフスタン・ロシア・トルコなどの国々で産出されています。

クロムの基本形態は“三価”となっており、からだの健康維持に重要な栄養として知られています。

クロムは皮革の鞣し剤としてだけでなく、様々な用途に使われており、そのほとんどはクロムメッキ加工の材料として使われています。

大量生産・大量消費の時代が生んだ鞣し製法。クロム鞣しについて解説。

クロムの効果とは?

鞣し剤として

クロム鞣しは、代表的な鉱物鞣しのひとつで、塩基性硫酸クロム塩とよばれる“クロムを含む化学薬品”を鞣し剤に用いた鞣し製法のことを指します。

塩基性硫酸クロム塩のほかには、硫酸クロム・重クロム酸ナトリウム・カリウム塩・クロム塩なども使われることがあります。

この鞣し製法は、ドイツの研究者によって開発され、アメリカで実用化を果たした、比較的新しい鞣し製法となっています。

とくに、数度の世界大戦によって生まれた、軍用革製品の需要拡大をきっかけに、一般的な鞣し製法になりました。

クロムを用いた皮革の鞣しの特徴は、大きな回転式のドラムを使い、クロム鞣し剤を入れて、一度に大量の皮を鞣すという、とても作業効率のよいものとなっています。

ほかの鞣し製法に比べて、約半分程度の時間と費用だけで皮を鞣すことができ、大量生産による価格の抑制が保たれています。

また、クロム鞣しを施した革には、以下のような特徴が生まれます。

  • 柔軟性
  • 弾力性
  • 耐熱性
  • 耐水性
  • 染色性
  • 伸縮性

上記のように、クロム鞣し革は、あらゆる革製品に適した性質を持った素材に仕上げられています。

ただ、耐水性・耐熱性・耐水性に優れるものの、可塑性がほぼないのが欠点となります。

クロム鞣し革は、植物タンニン鞣し革のように“革らしい表情”や“美しい経年変化”を楽しむことはできず、味わい深さのある革ではありません。

革製品を選ぶ際は、その革の鞣し製法を調べてから購入を決めるとよいでしょう。

sot(ソット)のサステナビリティレポート。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

クロムは、皮革業界だけでなく、メッキ塗装などのあらゆる用途に使用される特別な元素のひとつです。

大量生産、大量消費の時代に輝く、経済的な合理性によって生まれたクロム鞣し製法。

革製品を選ぶ際は、ぜひ素材の鞣し製法を調べてみてください。

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