
皮革の鞣剤(じゅうざい)に利用される、植物タンニン。
植物タンニンは、あらゆる植物から抽出される、“自然の恵み”。
その名称に聞き覚えがあったとしても、どのような植物から採取されているのかを知る機会はないはずです。
この記事では、そんな「植物タンニン」を作る、世界の植物について解説します。
植物タンニンとは?
植物タンニンとは、植物の果実、種子、葉、樹皮、木部などに含まれる、収斂性(しゅうれんせい)のある物質のことで、フェノール基を持つ芳香族化合物。
植物タンニンの“収斂性”とは、植物タンニンのような化合物が、動物の皮膚(タンパク質)を凝固させる作用があることをいいます。
そのため、植物タンニンは、皮を鞣すための鞣剤や染色材料として使用されています。
また、「植物タンニン」と「タンニン」の意味に違いはなく、あくまで「植物タンニン」は、皮革界の用語として使われています。
タンニンの世界
自然界には、タンニンを含む植物が沢山あります。
タンニンの種類は、なんと150種類を超えるのだとか。
その含有量は、植物の種類により違うものの、数多くの植物の樹皮、木部、葉、根、果実の液中に含まれています。
なぜ、鞣剤に?
タンニンというものは、本来植物が動物や虫などの外敵から身を守るためのものですが、わたしたち人間は、かなり昔から皮革の鞣剤として利用しています。
皮革製品の原材料となる動物の生の皮は、そのまま放置を続けてしまうと、すぐに腐敗してしまいます。
そんな皮を、植物タンニン液に長時間浸すことで、タンパク質を凝固させて腐敗を防ぎ、保存の利くものに変化させるのです。
“植物タンニン鞣し”という鞣し製法が確立される前は、たった数種類の植物だけから植物タンニンが採取されていましたが、その後の研究努力により、多種多様な植物から植物タンニンを採取することができるようになりました。
また、それぞれの植物タンニンは、その色や質の特徴が違っており、その違いによって、皮革の特徴に変化が生まれます。
例えば、植物タンニン鞣しの鞣剤として最も使われている、ケブラチョの木。
ケブラチョから採取できる植物タンニンは、赤身を帯びているため、赤褐色の革を作るのに適しています。
“タンニン”を作りだす、自然界の植物
チェスナット

- 科名:ブナ科
- 主産地:ヨーロッパ地域
チェスナットは、クリの木のこと。
イタリア、フランスなどに自生しており、もちろん国内にも自生しています。
その特徴は、約30年の樹齢を超えると、タンニンを木質部に含むようになること。
また、とても収斂性が高いのも、大きな特徴といえます。
ケブラチョ
- 科名:ウルシ科
- 主産地:南アメリカ地域
ケブラチョは、アルゼンチン、パラグアイなどの南アメリカ地域に分布している、ウルシ科の木。
タンニンを木質部に含んでおり、とても収斂性が高いのが特徴。
ケブラチョの生育時間は、かなり長時間になるため、一昔前には、その過度な伐採が課題となっていました。
その後、積極的な植林事業が行われています。
タラ
- 科名:ウコギ科
- 主産地:南アメリカ地域
タラは、ペルーなどの南アメリカ地域に分布する木。
タンニンの色はとても淡く、植物タンニン鞣し革の鞣剤として、よく利用されます。
オーク

- 科名:ブナ科
- 主産地:ヨーロッパ 地域、北アメリカ地域
“オーク材”として、あらゆる木製家具に使われている木。
オークは、ヨーロッパ地域に自生しており、タンニンを樹皮に含みます。
ミロバラン
- 科名:シクンシ科
- 主産地:東南アジア地域、南アジア地域
東南アジア地域の赤道近くに自生している、落葉樹。
独特の香りがあり、タンニンを果実に含みます。
ヌルデ
- 科名:ウルシ科
- 主産地:東アジア地域 、東南アジア地域
ヌルデの芽と葉には、アブラムシが寄生しやすく、アブラムシが寄生すると、「虫癭(ちゅうえい)」という、突起物を作ります。
そんな虫癭に、タンニンを豊富に含んでいます。
また、乾燥した虫癭は、五倍子(ごばいし)と呼ばれます。
ミモザ(ワットル)

- 科名:マメ科
- 主産地:オセアニア地域
オーストラリアなどに自生する、ミモザ。
オーストラリアからアフリカ各国に移植がされた歴史があり、大規模栽培が進められました。
ミモザの木は、約10年という短期間で成木になるため、計画的な伐採ができる木となっています。
タンニンは、ミモザの樹皮に集中しており、タンニンの含有率は、その他の植物に比べて高くなっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タンニンの効果は、人間の暮らしのなかで、代々受け継がれてきました。
各植物のタンニンは、それぞれ違った特徴があり、それぞれの個性が鞣しの際に活かされています。
その皮革の色などの違いは、“自然界の多様性”の表れといえるでしょう。
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