革製品の原材料となる、原皮(原料皮)。
原皮には、様々な動物の皮が使われており、それぞれに違った性質があります。
この記事では、そんな原皮について解説します。
原皮とは
原皮(げんぴ)とは、革製品の原材料となる、“生の状態の動物の皮”のこと。
現在、市場にある革製品のほとんどには、脊椎動物の皮が主に使われており、哺乳類をはじめ、爬虫類・鳥類・両生類・魚類などがよく使用されています。
そのなかでも、よく革製品に使われているのが、牛や豚のような、家畜動物の皮。
上記のような動物は、食用として処理されたあとに残った、いわば副産物を利用したものであり、不要となった皮を原皮として利用しています。
また、それ以外の動物は主に自然に生きる野生の動物であり、鱗模様などの美しい表情が特徴となっています。
現在は、ワシントン条約による影響により、野生動物を使用した原皮の取引制限があることから、飼育された動物の皮を使用することが主流となっています。
原皮の種類
原皮は、動物の種類・面積のほか、部位や重量、状態によって区分されています。
一般的には、大きく厚い、重い皮のことを“ハイド”、小さくて薄く、軽い皮のことを“スキン”と呼びます。
さらに、動物によっては、その性別・年齢によって呼称が異なる場合があります。
牛革は、ステア・ブル・カウ・キップ・カーフ、羊革は、シープ・ラム、山羊革は、ゴート・キッドのように分類されています。
原皮の部位
ショルダー(肩)
肩は頻繁に筋肉が動く部位ということもあり、表面に皺がよく見られるのが特徴。
柔軟性と高い強度を持っており、馬具などによく使用されています。
大きな特徴である皺は、デザインのひとつとしても楽しむことができます。
ベンズ(背中・腰)
繊維密度が比較的高く、均一でありることから、人気のある部位。
バッグからベルトまで、ありとあらゆる革製品に利用されています。
表面の傷が少なく、変形がしづらいといった、嬉しい特徴があります。
バット(尻)
繊維密度が高く、厚みがある部位。
全体的に美しい表情が楽しめるため、牛革のみならず、馬革などでも貴重な部位として重宝されています。
ベリー(腹・腰)
ベリーは、繊維密度が低いために伸びやすく、他の部位に比べて、柔軟性に優れています。
比較的安く、加工がしやすいという点から、革靴の中敷きなどに幅広く使用されています。
ネック(首)
頸動脈(けいどうみゃく)を守る重要な部分であるため、もともと厚みがある部位。
部位面積が小さいため、市場で出回ることは滅多にありません。
革製品においては、あまり目立たない内装などに使用されています。
ヘッド(頭)
人間同様、薄く、強度がない部分。
ネック同様、基本的に市場には出回ることはほぼありません。
レッグ(脚)
繊維質が前脚と後脚で違っており、繊維密度が高い後脚の方がよく使われています。
耐久性があり、ハンドル部分などに利用されています。
原皮の仕立て
剝ぎ取ったばかりの動物の皮には、あらゆる部位に血痕や細かな肉片が付着しています。
そのまま放置をしてしまうと、細菌が増殖して、腐食が進み、原皮の品質は著しく低下していきます。
上記のような状態を防ぐために、すぐにキュアリングと呼ばれる仕立てを行い、原皮を長期的に保存できるような状態にします。
キュアリング
キュアリングにおいては、まずはじめに、唇・耳・尾などの使用できない部位を除去して、加工のしやすい大きさに切り分けます。
その後、切り分けられた皮は、いくつかの方法を用いて、細菌の増殖を抑制して、長期的な保存と輸送に耐えうるような状態に処理されます。
散塩法
固形の粒状の塩をばら撒く方法。
塩水法
塩化ナトリウム飽和溶液に浸漬する方法。
塩乾皮
塩生皮を乾燥させる方法。
鞣し
原皮を実際に輸送する前に、鞣剤を使って事前に皮を軽く鞣しておくということがあります。
このような鞣しを施したものは、鞣し剤の種類によって、ウエットブルー、ウエットホワイトのふたつに区別されています。
ウエットブルー
クロム鞣しを施した、湿った状態の染色をしていない革。
生産量は年々増加しており、原皮の生産国が素材に付加価値をつけるという目的で生まれました。
ウエットホワイト
クロム鞣剤以外を使って鞣された、湿った状態の染色をしていない革。
クロムによる環境汚染が重大な問題となったことを受けて生まれた、環境に配慮した素材。
主な鞣剤には、アルミニウム塩・チタン塩・ジルコニウム塩・アルデヒド類の合成鞣剤などが使われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
革製品を作るために欠かすことのできない、原皮。
原皮を知ることは、食育を学ぶことにもつながるでしょう。