皆さんは「へり」という言葉をご存知でしょうか?
「へり」は革製品によく使われる言葉のひとつで、漢字では「縁」と書き、一般的に使われる意味と全く同じ、ものの「端」や「淵」を指します。
「でもなぜ革製品によく使う言葉なの?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。
実はへりは、革製品の魅力やこだわりが沢山詰められた箇所でもあり、へりの加工方法の違いによって製品全体の見栄えが大きく変わるのです。
今回はそんな、“意外”にも革製品にとって重要な役割を担っている「へり」についてご紹介していきます。
お手入れの方法なども説明していますので、ぜひごゆっくりとご覧ください。
へりとは?
先ほどお話した通り、へりは革の縁部分(端や淵)を指す言葉です。
「へり」と平仮名で表記されることが一般的です。
へりという言葉自体は、「畳の縁」などと言う場合によく使いますね。
コバとの違い
ここまでご紹介してきた「へり」は、同じ革製品の端を意味するコバとはどう違うのでしょうか。
どちらも革の端を意味する言葉であることに間違いはないのですが、へりは革の断面ではなく表面上の隅を指し、コバは革の断面(裁断面)そのものを指します。
少しわかりづらい定義でもありますが、先ほどの畳の件を思い出していただくとわかりやすいかもしれません。
革製品の修理時にもよく使う言葉ですので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
注目すると面白い部分でもある!
へりはへりでも様々な種類があることを皆さんはご存知でしょうか?
今回は主なへりの種類をご紹介していきます。
コバ同様に、製品の見栄えや特徴を大きく変える役割を担っている部分でもあるので、ぜひご注目ください。
へり巻き / 菊寄せ
複数の革が重なった部分を布や薄い革でミシン掛けする加工の「へり巻き」。
多くの革製品に見ることができる加工ですが、へり巻きにもたくさんの種類が存在しています。
中でも曲線部で放射状に順に皺を付けてへりを返す「菊寄せ」は職人技がひかる部分でしょう。
また、へり巻きは「パイピング加工」と呼ばれたりもします。
へり落とし
へりの角部分を削り落とす「へり落とし」。
角を削ることで、製品全体の見栄えが柔らかくなります。
また、コバを磨いた際に角が鋭利にならないというメリットがあります。
念
一本一本、細い線が入っている部分を「念」といいます。
念は革と革の接着性を高める効果以外にも、製品をちょっぴり上品に見せたい場合の加工のひとつとしても用いられます。
あるのとないのとでは見た目が大きく変わり、デザインに対するこだわりを見ることのできる部分といえます。
その他、革製品にはたくさんの職人技やこだわりが隠された部分がたくさんあります。
気になる方はぜひ下記のコラムもご覧ください。
へりのお手入れ
へりはコバに比べて外部からのダメージが貯まりにくい箇所であるため、一般的にはメンテナンスをする必要はありません。
しかしながら、完全に擦れが起こらないというわけではないので、補色ケアに必要なクリームなどを持っておくと安心でしょう。
また、へり巻き加工をされた製品であれば、接着剤の効力がなくなって剥がれてくる場合があります。
その場合には財布を購入した店舗に連絡してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は革製品のへりについてご紹介しました。
へりはコバ同様に、製品の見た目と特徴を大きく変える重要な部分です。
ぜひ身の周りにある革製品のへりをチェックしてみてくださいね。