革には、銀面と呼ばれる表面がある革とない床革(とこがわ)という革があります。
床革を直に見る機会はあまりありませんが、床革の表面上に様々な加工を行ったものを使用した革製品は数多く存在します。
今回は、そんな床革の特徴や主な使い道をご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
床革とは?
床革は銀面のない革のことで、革の下層部分を指します。
元々厚さのある牛革などは、製品化に向けて革をバンドナイフマシンという大きな機械を使って厚さ調整をされることになります。
その際に分割した革のうち、銀面と呼ばれる表面があるものを銀付き革といい、それ以下のものを床革と呼んでいます。
床革は一枚の革から採取できる面積が広いため、一般的に安い価格で取引されています。
床革の特徴
床革は銀面がないために薄くて柔らかいものの、繊維がとても粗いために耐久性や耐水性はほぼありません。
また、床革はエイジングが現れにくいという傾向があります。
植物タンニン鞣し革のようなエイジングは起こらないものの、床革のスエード素材などに限っては使うほどに手に馴染んでくるといった手触りの変化を楽しむことができます。
床革の最大の魅力は起毛加工を施すことによって生まれる手触りのよさです。
表面の毛羽立ちが自然な形で活かされた起毛した床革は素朴な味のある革になります。
この他には、ヤスリを使って滑らかに毛羽立ちをさせたスエードなどがあり、バッグやシューズの素材などにもよく利用されています。
床革の使い道
革靴によく使われている
先ほどもご紹介したように、床革は耐久性や耐水性が低いために、床革のみを使った革製品はないに等しいのが現状です。
ただ、床革は柔らかく扱いやすいため、革靴の細部に使われることもあります。
また、床革の表面に加工を施した革も数多く存在します。
代表的なものには、ラミネートレザーなどがあり、どれもポリウレタンやフィルムなどの樹脂を床革の表面に貼ることによって強度を持たせた素材となります。
ラミネートレザーは雨の日でも気にせずに使える撥水性に優れ、日常使いのしやすい素材としても使用されています。
手入れ方法について
起毛した床革を使った革製品には、定期的な手入れを行う必要があります。
日々の手入れは、馬毛ブラシを使って、毛と毛の隙間に入り込んだ細かな埃や塵を払い落とすことが基本となります。
この時、毛並みを綺麗に整えてあげることで見た目をより美しくすることができます。
また、月に一度を目安に、防水スプレーを吹きかけておけば、雨などの水分によるシミができづらくなります。
しかしながら、床革は耐水性が低いので、防水スプレーを近距離での噴射や過度な使用によるシミができてしまう場合があるので十分な注意が必要です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、床革について特徴や手入れ方法について解説しました。
床革には、ほかの革とは異なる魅力が沢山存在します。
あまり頻繁に目にすることはない素材ではありますが、あなたの身近な革製品のちょっとした部分に使われている床革は革製品を語るうえで外すことのできない要素のひとつです。
ぜひ覚えておくとよいでしょう。