天然皮革に触れたとき、その表情の違いに魅了された経験はありませんか。

それら唯一無二の表情と個性は、ひとつの製品となってから生まれたものではなく、原皮の段階で既に刻まれています。

原皮とは、皮革製品の原料となる動物の皮のこと。

この記事では、そんな原皮について解説します。

原皮とは?

原皮(げんぴ)とは、原料皮(げんりょうひ)とも呼ばれ、皮革製品の原材料となる、動物の皮のこと。

原皮の種類には、牛皮、羊皮、豚皮などがありますが、その多くが、“脊椎動物の原皮”となっています。

また、そのほとんどが家畜動物の皮となっています。

もともと農耕民族である日本の皮革についていえば、牛、羊、馬などの頭数が少ないことから、もっとも主要な牛原皮の生産量が少なく、そのほとんどを輸入に頼っている点が大きな特徴といえます。

また、日本政府の食肉政策も影響して、豚皮が唯一完全自給ができる原皮となっています。

副産物を活用

野生動物の原皮を除いて、一般的な牛皮や豚皮などには、あくまで家畜動物の皮が使用されています。

家畜動物から採れる原皮は、わたしたちの食肉として屠畜されたあとに残っている、“食の副産物”となっています。

動物の命を考える

脊椎動物のなかでも、鳥類、両生類、魚類などが使われることがあります。

その一部には、野生動物の皮が使用されていることもあり、鱗模様などの美しい紋様に希少性があり、大変価値のある皮とされます。

ただ、ワシントン条約(絶滅の危険性がある野生動植物の国際取引に関する条約)などによって、野生動物の原皮の取引が厳しく制限されていることから、家畜動物の皮を使用することが主流となっているようです。

それと同時に、オーストリッチ、ワニなどを、皮革製品用に飼育するといった事例も増加しています。

よく革製品に使われている動物の皮。一般革の種類や特徴について解説。

原皮の種類

原皮は、原皮の種類、面積、状態、重量などを用いて区分がされており、その区分けによっても呼称が変わります。

また、牛原皮は、「ステア」「ブル」「カウ」「キップ」「カーフ」、山羊原皮は、「ゴート」「キッド」のように、その重量、性別、年齢によって区別がされています。

羊原皮については、「シープ」「ラム」だけでなく、「ウール」「ヘア」といった、毛の特徴によっても区分されています。

ハイド

約11㎏(25lb)以上の重量の皮。

基本的には、大型の動物の皮となり、かなりの厚みがある。

スキン

約7㎏(15lb)以下の重量の皮。

ハイドとは違って、小型の動物の皮となり、とても薄くて軽い。

原皮の仕立て

動物の皮を、皮革製品用の素材にするために、塩漬け、乾燥、または半鞣しというものを施することを、キュアリング(仕立て)といいます。

キュアリング(仕立て)を行うことで、細菌の増殖による腐敗を防ぎ、長期的な保管が利くようにしています。

まず、動物の放血、剥皮を行ったのち、頭、耳、唇、尾などの不要部分が取り除かれ、それぞれの部位ごとに分けられ、価格が付けられていきます。

一般的には、塩漬けが施さたのち、世界各地に輸送されていきますが、近年は、輸送前に鞣しを施しておき、製革作業全体の効率を高めるという形態が増えています。

ウェットブルー

クロム鞣しを施した、湿潤状態にある皮。

クロム鞣しを施しておくことで、「再鞣し」が容易にできるようになることで、多種多様な素材に作り変えることができるようにしているのです。

ウェットブルーの生産量は、急激に増えている形態となっていますが、その背景には、クロム鞣し革を消費する国の“クロム鞣剤による公害防止”を目的とした社会的な要請と、原皮生産国の高付加価値化による経済的な利益が密接に関係していることを忘れてはいけません。

ウエットホワイト

クロム鞣剤以外の鞣剤が使われた、湿潤状態にある皮。

クロム鞣剤による公害発生(クロムを含有する排液処理)が社会的問題となったのをきっかけに開発された、比較的新しい形態です。

主な鞣剤には、アルミニウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、アルデヒド類の合成鞣剤が使われます。

鞣剤に使われる“クロム”の効果について。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

普段目にしている皮革製品は、どれも鞣しが施されています。

ただ、その品質や表情の土台となるのは、あくまでも原皮。

動物の皮本来の表情は、天然皮革ならではの“個性”として受け継がれていきます。

皮革製品の魅力を深く知るためには、その原点ともいえる原皮を知ることともいえます。

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