夏季の風物詩、扇子。
京都府内で作られる扇子は、「京扇子(きょうせんす)」と呼ばれる、伝統工芸品。
その意匠を凝らした美しい装飾、確かな技術によって生まれる扇子は、ただ涼を得るためのものとしてでなく、伝統芸能に欠かせないものとしても発展をしてきました。
この記事では、平安期から連綿と愛され続ける、京扇子の歴史と魅力に加えて、sot(ソット)が販売している「京扇子」をご紹介します。
京扇子とは?
京扇子の生産は、京都府に加えて、滋賀県の一部地域でのみ、行われています。
“京扇子”という名称自体は、京都府の扇子団扇商工協同組合だけが使用できるものとなっています。
京都府の扇子は、その昔から地位の高い人間のみが使用を許されたものであったことから、今なお格式の高い儀式などでよく見ることができます。
風雅な姿が特徴的
たった一本の扇子を作るために、必要となる工程数は、約80ほど。
- 扇骨
- 地紙
- 絵付け
- 折り
- 仕上げ
それら工程の大部分が、熟練した職人の手作業が欠かせないような、大変高度な技術を要するものといいます。
また、全体の生産体制は、“完全分業制”となっているため、扇骨を作る「骨屋」、紙を仕入れる「紙屋」、紙を折る「折屋」、組み立てを行う「付け屋」など、あらゆる人々が携わっており、その技術を集結させた結晶が、伝統工芸品の京扇子となるのです。
魅力的な滑らかさ
京扇子の特徴のひとつに、“扇骨の数”があります。
“芯”といえる骨部分の数は、耐久性に大きな影響を与えるだけでなく、開閉時の滑らかさを左右します。
京都の質の高い竹を使用した扇子は、その他産地の扇子に比べて、ストレスを感じさせない、とても滑らかな開閉ができるといわれています。
竹林に恵まれた都
京都府と扇子の歴史は古く、その起源は平安期まで遡ります。
もともと、京都府周辺は、京扇子の主材料となる“真竹”が豊富に採れる場所。
当時の都が置かれた場所の近くにも、とても質の高い竹が調達できる環境があったと考えられます。
また、和紙がとても貴重なものであった時代、紙が材料となる扇子は、かなり裕福な上流階級の僧侶や貴族のみが使うことのできるものでした。
当時の扇子は、和歌を書くための「木簡(もっかん)」に似た役割を担っていたとされ、蛇腹状に折りたためる点が便利ということで、大変重宝されていたそうです。
江戸期になると、それまで素朴な印象であった京扇子は、一気に装飾性を増していき、歌舞伎や茶の湯といった、伝統芸能の場でも用いられるようになりました。
江戸期の半ばになると、一般庶民の生活のなかでも使われるようになります。
その後、京都府の扇子に関連した仕事は、“京の三職”といわれ、京都府が誇る伝統工芸品として知られるようになりました。
sot(ソット)の京扇子
sot(ソット)では、日本各地の伝統工芸品のよさを伝えられるような製品を販売しています。
京都府内の老舗扇子メーカー「大西常商店」との共同企画により、新しい扇子が製作されました。
毎年限定色が投入されており、国内外問わず、多くの方々に高い評価を頂いています。
素材
卓越した職人技が光る
メイン素材には、やわらかさのある羊革を採用。
紙製の扇子にも負けない“滑らかな開閉”にするため、羊革の原皮を厳選したのち、極限の薄さにまで漉いています。
扇子本体が折りたためるようになるまで羊革を薄くすることは、熟練の職人が苦労するほど、難易度の高い作業。
また、扇子を使い込むことで、より革が馴染み、さらに開閉が楽になっていきます。
裏面には、シルク生地を合わせ、耐久性を向上させました。
仕様
ケース付き
水分の付着を防ぐため、ケースの素材には“撥水性”のある牛革を使用。
あらゆる鞄に入れやすく、普段の持ち運びに大変便利です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
京都府が誇る「京扇子」は、夏の装いに新たな彩りを添えてくれます。
瞬間的に広がる、やさしい香り。
その背後にある、京都の長い歴史と職人技に思いを馳せれば、日本の夏がより楽しめるでしょう。
sot(ソット)では、「革 京扇子」を販売しています。
気になった方は、ぜひ各店舗にてお試しください。
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