あなたが普段使っている革製品。

そのお手入れをなんだか面倒に感じて、後回しにしてしまってはいませんか?

適切に使い込むことで美しい表情を見せてくれる革ですが、お手入れを怠ってしまえば1年足らずでダメになってしまうこともあります。

しかし、人間は常に怠けようとしてしまう生き物。

面倒に感じているのはあなただけではありません。

色が抜けてきたり、傷がついたり、目に見えたトラブルがないとお手入れしようという気にすらならないかもしれません。

今回は、そんな面倒くさがりの方のためにおすすめの革を2種類ご紹介します。

あらかじめたっぷりと保湿されている「オイルレザー」

そもそも、お手入れを怠った革製品がダメになってしまうのはなぜなのでしょうか。

その大きな要因は「乾燥」にあります。

人の肌と同じように、革にも適度な水分と油分が必要で、水分が抜けて乾燥してしまうと、その強度は大きく低下してしまうんです。

空気が乾いた冬の季節には、肌だけじゃなく革も乾燥しやすくなりますし、砂や埃を被ったまま使い続けた革も、水分や油分が吸われて乾燥しやすくなってしまいます。

その乾燥を防ぐのに有効なのがオイルでの「保湿」です。

スキンケアと同じように油分を革に補給してあげれば、外からの水にも強くなり、中の水分も外に逃しにくくなります。

そんな油分を初めからたっぷりと入れた革が「オイルレザー」です。

具体的にいうと、アメリカ・ホーウィン社の「クロムエクセル」や、sotでも定番的に取り扱っているイタリア・バダラッシ社の「プエブロ」「ミネルバボックス」といった革が有名です。

これらの革は、大量の油分によって革内部の水分が抜けにくいので、乾燥にとても強いという特徴があります。

そのため、定期的にクリームを入れるのが面倒という方にはとてもおすすめの素材になります。

見た目には、彩度が低く、落ち着いた色合いになるので、何種類か見てみてイメージができると、他の革を見た時にも判断しやすいと思います。

ぜひ参考にしてみてください。

<sotで扱っているオイルレザー>

①プエブロ / PUEBLO

イタリア・バダラッシカルロ社にて、1000年前の製法を復活させた伝統的な方法でつくられる革。

樹木から取れるタンニン成分で鞣し、たっぷりと牛脚油(ぎゅうきゃくゆ)を叩き込んでいます。

アイロンでハリを出した後に金属のブラシで表面を毛羽立たせ、和紙のような独特な表情を表現しています。

ムラのある表情が特徴なので傷が目立ちにくく、お手入れも楽なのに革のダイナミックな変化が楽しめるので、面倒くさがりの方には特におすすめの素材です。

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まるで和紙。革好きの心を掴んで離さない、触れるほど自然に育つ革「プエブロレザー」

②ミネルバボックス / MINERVA BOX

プエブロと同じくイタリア・バダラッシカルロ社にて、1000年前の製法を復活させた伝統的な方法でつくられる革。

主な違いは「仕上げ」です。プエブロがハリのある和紙のような表情を出しているのに対して、ミネルバは、大きな太鼓の中でぐるぐると革をまわしながら揉みほぐし、しっとりと手に馴染む柔らかさを出しています。

表面にはシボが立っているので、こちらも傷が目立ちにく、お手入れが楽な革です。プエブロと同じように色艶が劇的に変わっていきます。

※詳しくはこちら

なぜミネルバボックスはふっくら柔らかいのに丈夫で、触れているだけで劇的に変化していくのか。その本当の理由とは?

③エレガンザ / ELEGANZA

こちらは日本の革。兵庫県姫路市でつくられるコンビなめしの革です。

クロムとタンニンをコンビネーションに使ってなめすことで、クロムによる耐久性と、タンニンによる経年変化を引き出した良いとこ取りの革です。

なめしの後にはたっぷりとオイルを入れて、落ち着いた色合いのしっとりとしたオイルレザーに仕上げています。

和紙のような質感のプエブロや、シボがたったミネルバに対して、スムースな表情になっているので、なめらかな質感がお好きな方におすすめです。

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しっとりと艶めく大人の色合い。持つ人を上品に引き立てる革「エレガンザレザー」

水分や油分が閉じ込められた「コーティングレザー」

オイルレザーだけじゃなく、表面をコーティングした革も乾燥に強くなります。

具体的には「顔料で染めた革」や「エナメルレザー」、「ガラスレザー」等です。

いずれの革にしても、樹脂が表面を覆っているので、内部の適度な水分や油分が抜けることはほとんどありません。

さらにコーティングが外からの汚れも弾いてくれるので、革内部に染み込むことがなく、水拭きなどのお手入れで簡単に新品に近い状態を維持できます。

エナメルレザーやガラスレザーは、表面に艶があり「膜で覆われた感」が強いのでわかりやすいと思いますが、顔料染めの革はぱっと見では判断できないかもしれません。

顔料染めの革は簡単に言うと、革の中に浸透しない色(顔料)を、樹脂で表面に定着させて革に色をつける方法。

有名な革では、均一で上品な型押しワープロラックスや薬品で縮ませてシボを出したシュランケンカーフが挙げられます。

これらの顔料染めの革は、「均一でムラがない」「鮮やかな発色」という特徴があります。

そして、革の表面に直接触れることがないので、その表情が変化することはありません。

なので、お手入れが楽で、新品時の色合いを保ちたいという方にはおすすめです。

結局まとめると、

①経年変化を楽しめて、かつお手入れが楽な方が良いという方には「オイルレザー」≪例≫プエブロ、ミネルバなど

②新品の色を維持してくれて、かつお手入れが楽な方が良いという方には「コーティングレザー」≪例≫ワープロラックス、シュランケンカーフなど

がおすすめです。

ぜひ革製品選びの参考にしてみてください。

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