赤、青、緑など、革を自由な色に染め上げる「染色」の工程。

その染め方一つで、革の性質を大きく変えてしまうことをご存知ですか?

今回は、そんな革の染色に焦点を当てて、どのような方法で染められたものが、あなたにぴったりの製品になるのかをご説明していきます。

ぜひ、革製品選びの参考にしてみてください。

<目次>

①3パターンの染め方に注目した、失敗しない革製品の選び方

・革の素肌を感じる透明感のある色が好きな人へ

・汚れに強く、鮮やかな色が長く続く革が好きな人へ

・深い色に変化していく革が好きな人へ

・傷が目立たない革がいいという人へ

・とにかく丈夫な革がいいという方へ

sotのメインレザーの染め方を、全て公開します。

3パターンの染め方に注目した、失敗しない革製品の選び方

タンニン鞣しやクロム鞣し。ドラム鞣しやピット鞣しなど、「鞣し」ばかりに注目して革製品を選んでいないですか?

もちろん、良い鞣しが良い革にとって必要不可欠なのは言うまでもありませんが、実は「染色」も革の性質を決める重要な要素の一つなんです。

一般的に、革の染め方には大きく分けて2つの方法があります。

それが「染料染め」と「顔料染め」。

また、染料染めには、革の芯まで染料を入れる「芯通しあり」と、芯までは入れない「芯通しなし」があるので、その組み合わせをあげると、

  • 染料染め/芯通しあり
  • 染料染め/芯通しなし
  • 顔料染め

の3パターンがあります。

実は純粋な染料染めというのは珍しく、色合いの調整や色落ち防止のために、染料染めの後に少し顔料で染めることも多いです。

あなたが、普段手にする革はほぼ全て、このいずれかの組み合わせで染められています。

これらについてわかりやすく説明しながら、「好みの革の特徴」から、どの染め方の革があなたにおすすめかをご説明していきます。

革の素肌を感じる透明感のある色が好きな人へ

革は、食肉の副産物として再利用してつくられる天然素材。

そのナチュラルな表情をダイレクトに楽しみたいという方には、「染料染め」の革がおすすめです。

染料染めとは、文字通り「染料」を使って革を染める方法のことですが、具体的には、染料(色)を革に浸透させることで染める方法のこと。

このときに、革の芯まで色を入れれば「芯通し」で、入れなければ「芯通しなし」の染料染めになります。

芯通しのありなしがどちらにせよ、革の毛穴やシワ感などの凹凸はそのままに色を着けることができるので、自然な表情が透ける色合いを楽しむことができます。

なので、革本来の手触りや風合いをより味わいたい方は、「染料染め」の革を使った製品かどうかを確認して選んでみてください。

汚れに強く、鮮やかな色が長く続く革が好きな人へ

革の自然な表情が味わえるというのが染料染めの良さの一つではありますが、デメリットもあります。

染料を浸透させて染めているということは、雨や汗などの汚れも染み込むということです。

なので、比較的に汚れがつきやすいというのがデメリットになります。

また、タンニンでなめされた革の場合、空気や紫外線と反応して濃い色合いに変化していくので、新品時の気に入った色合いのままが良いという人にはあまり向きません。

そんな方は「顔料染め」の革がおすすめです。

顔料染めとは、文字通り「顔料」で革を染める方法のこと。

顔料は染料とは違って「色の粒子」が大きく、革の繊維の中まで色が入っていけないため、表面を覆う形で色を着ける方法になります。

表面を色(顔料)が覆うことで、革に雨や汗などが入っていくことはないので、汚れがつきにくい革になります。

さらに、革の表面を覆っているということは、タンニン鞣しの革を土台に使っていたとしても、革が空気や紫外線と直接触れることはないため、色の変化も起きにくくなります。

これによって、新品の時の色合いをずっと楽しむことができるんです。

さらに色を染み込ませるわけではないので、土台の革の色の影響を受けることはありません。

そのため、鮮やかな色を作りやすいということも良さの一つです。

まとめると、「汚れに強い」「色が新品のまま」「鮮やかな発色」が好きな方は、ぜひ「顔料染め」の革でつくられた製品を選んでみてください。

深い色に変化していく革が好きな人へ

鮮やかな色が長く楽しめる革も良いですが、アンティーク家具のように、艶やかで深い色合いに変化する革はやっぱり魅力的ですよね。

そんな革の変化を楽しみたい方は、染料染めを選んでみてください。

もっと詳しく言うと、「タンニンでなめされた染料染めの革」になります。

このタイプの製品を選べば、タンニンを含んだ革の素肌が空気や紫外線と反応して、深い色に変化してくれます。

また、これもタンニンと結びついた革の性質で、触れるたびに表面の細かな凹凸がならされていきます。

この作用によって、表面の艶がどんどん増していきます。

この辺りの性質の詳しい説明は、こちらの記事で解説しています。

また、染料自体も光と反応して色が変わっていくものもあります。

なので、革を育てる感覚を楽しみたい方は、ぜひ「タンニン鞣し・染料染め」の革でつくられた製品を選んでみてください。

傷が目立たない革がいいという人へ

革製品の多くは、財布やキーケース、バッグなどの普段使いの製品だと思います。

そんな革製品を長く使っていくと避けられないのが、傷や汚れです。

ここでは傷に強いものをご紹介していきます。

結論からいうと、傷が目立たない方が良いと言う方は、「顔料染め」か「染料染め・芯通し」のものを選ぶと良いです。

顔料染めは、革の表面が顔料で覆われている状態なので、少し擦れたとしても、革の表面に傷がつくことはありません。

そのため、傷はほとんど目立ちません。

また、染料染め・芯通しの場合は、表面に小さな傷が入っても芯まで染められているため傷が目立ちにくくなります。

一方で、芯通しなしの場合は、傷が入ると、染まっていない部分が剥き出しになるので、芯通しのものに比べると少し目立つことがあります。

そのため、傷のつきにくさ・目立ちにくさを重視する方は、「顔料染め」または「染料染め・芯通し」で染められている革を探してみてください。

とにかく丈夫な革がいいという方へ

革製品の魅力を支えるのは、やはりその耐久性ですよね。

長く使うために必要不可欠なこの要素を重視するときは、どの染め方の革が良いのでしょうか。

答えは、「顔料染め」または「染料染め・芯通しなし」です。

染料染めで革を染めるときには、バスケットゴールほどの高さのある大きなドラムで、革と染料をぐるぐると回転させながら染めていきます。

このとき芯まで染料を入れようとすると、3,4倍ほどの時間がかかります。

すると、より繊維が揉みほぐされることになるため、ほぐれていないものと比べて強度は落ちてしまいます。

芯通し染めのときにはpHを上げることも要因。

そのため、耐久性を重視される方は、芯通し工程のない「顔料染め」や「染料染め・芯通しなし」のどちらかを選んでみてください。

sotのメインレザーの染め方を、全て公開します。

最後に、sotで取扱いのある主な革の染め方を、まとめてご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

1. pueblo(プエブロ)

タンニン鞣し・染料染め・芯通し(イタリア)

>プエブロの詳しい説明はこちら

2. minerva box(ミネルバボックス)

タンニン鞣し・染料染め・芯通し(イタリア)

>ミネルバボックスの詳しい説明はこちら

3. buttero(ブッテーロ)

タンニン鞣し・染料染め・芯通し(イタリア)

>ブッテーロの詳しい説明はこちら

4. eleganza(エレガンザ)

クロム&タンニン鞣し・芯通し(日本・姫路)

>エレガンザの詳しい説明はこちら

5. handwash(ハンドウォッシュ[栃木レザー]

タンニン鞣し・染料染め・芯通しなし(日本・栃木)

>ハンドウォッシュの詳しい説明はこちら

6. luke(ルーク)

タンニン鞣し・染料染め・芯通しなし(日本・姫路)

>ルークの詳しい説明はこちら

7. ecomuraless(エコムラレス)

タンニン鞣し・無染色・箔貼り(イタリア)

箔貼りは顔料染めに近い性質です。

>エコムラレスの詳しい説明はこちら