パッと見た一瞬で、靴に一目惚れしたことはありませんか?

前回の記事では、耐久性を中心に靴の製法の違いを見てきましたが、製法にかかわらず、単純に見た目で靴に惹かれてしまうこともあると思います。

そんな一目惚れした靴が、ソール交換があまりできないセメント製法で作られていた時、その靴を長く履くのは諦めた方が良いのでしょうか?

実は諦める必要はありません。

ここでは、具体的にどのようにすれば、そんな気に入った靴の寿命を伸ばせるのかという方法を2点ご紹介いたします。

革靴だけでなくスニーカーにも応用できる方法なので、ぜひ参考にしてみてください。

この2ヶ所をケアするだけで、靴の寿命を格段に伸ばせます。

ソールの交換が必要になるのは、どのような状況になったときでしょうか。

最も多いのは、ソールが大きくすり減った時です。

この時に削れやすい箇所は大体、2箇所に絞ることができます。

具体的には、足を踏み出した時に最初に着地する「カカト」と、最後に蹴り出す「つま先」です。

これらの部分の削れが進行すると、ソールを交換しなければならなくなります。

逆に言うと、この2箇所が削れないようにすれば、アウトソールを交換せずとも長く履くことができるということです。

革靴の場合はヒールが削れてきたら、町の修理屋さんで「トップリフトを交換したい」と伝えれば、削れたパーツのみを2,000~3,000円程度で交換することができます。

スニーカーの場合も同じように、部分的に補修することもできます。

革靴とスニーカーどちらにしても、最も削れやすいこの部分をケアするだけで格段に寿命が延びるので、ぜひケアしてあげてください。

そして、つま先に関して。

特に履き初めの革靴は、蹴り出す時に折り曲がる癖がついていないので、この部分が削れやすくなります。

この部分の具体的な処置としては、次の3つの選択肢があります。

・トゥスチール:金属製のつま先補強
・トゥラバー:ゴム製のつま先補強
・トゥレザー:革製のつま先補強

※トゥ:toe(つま先)

まずはトゥスチールから。

その名の通り、スチール[鉄(合金)]でできた補強パーツをつま先につける方法です。

これは、3つの中で最も強度のある素材になります。

硬い地面を蹴り出す瞬間にはカチっと小さく音がしますが、その音が気にならない方や感触がお好きな方にはおすすめです。

続いては、トゥラバー。

こちらは、ゴムでできた補強パーツをつま先に付ける方法です。

こちらの方が、価格が安く、比較的に滑りにくい仕様になります。

スチールの音や感触が気になる方にはおすすめです。

そして最後は、トゥレザー。

こちらは革を使ってつま先を補強する方法です。

3つの中で耐久性は最も低くなりますが、レザーソールの革靴に対しては最も自然な見た目に仕上げられるので、より自然な仕上がりを求める方にはこの仕様がおすすめです。

具体的な価格はそれぞれの修理屋さんにお問合せいただきたいですが、ラバーより高く、スチールより安いくらいが相場になります。

つまり価格としては、

トゥラバー<トゥレザー<トゥスチール

になることが多いと思います。

価格や機能のメリット・デメリットを考えた上で、お気に入りの靴を長く楽しんでください。

製法替えのススメ。同じ仕様で修理すると、実は損してしまうことも。

靴の製法は実は、後から変えることができるということをご存じですか?

先程ご紹介したカカトやつま先の補強をせず、削れてきたらアウトソールを交換する(オールソールする)際に、製法を変えてしまうのも1つの方法になります。

ソールの素材や仕様にこだわりがなければ、セメント製法の靴を同じ仕様に修理するのと同じくらいの価格で、マッケイ製法に変えたりもできます。


(靴を輪切りにした断面図)

ラバーソールやレザーソールにも色々な種類があり、お好きなソールに変えることもできるので、ぜひ修理屋さんに相談してみてください。

また、この時に個人的におすすめなのが、さらにプラス2,000円ほどで「ミッドソールを追加」する仕様です。

具体的には、この追加したミッドソールにマッケイ縫いをかけてもらい、その上にアウトソールをつけてもらうという仕様になります。

この形にすることで、アウトソールはミッドソールのみに接触する形になります。

すると、ソール交換の際にアッパーがダメージを受けることなく、次回以降アウトソールのみを交換できるようになるんです。

これによって、ソールを交換できる回数が格段に増えるので、お気に入りの靴をより長く履くことができます。

※このときにミッドソールとアウトソールに縫いをかけた製法には別の名前がついており、「ブレイクラピッド製法」といいます。

アウトソールの素材や形によっては縫いをかけられない場合もありますが、その時はアウトソールをミッドソールに接着する形になります。

もちろん、マッケイ製法の靴もオールソールの際にこの仕様に変更することで、前回ご説明したグッドイヤー製法と同じくらい長く履くことができるようになります。

お気に入りの靴をいつまでも大切に履きたい方はぜひ参考にしてみてください。

※sotの革靴は、価格と耐久性のバランスの良いマッケイ製法でお作りしています。

日本屈指のファクトリーPadroneさんとのコラボ革靴は、端正な顔立ちで、ビジネスでもカジュアルでも合わせやすいデザイン。

オリジナルの革靴は、ワークシューズのディテールを加えて、ラフに履きやすいデザインになっています。

どちらも、アッパーの革にはタンニンを入れているので、一般的な革靴よりも足に馴染みやすいです。

また、詳しくは修理屋さんにご相談いただきたいですがブレイクラピッド製法にも変更可能だと思うので、今お持ちの方もご検討中の方も今回の方法を実践すれば、より長く愛用していただけますよ◎

東急プラザ銀座を解説。日本と世界の文化が融合する場所。