雨に濡れてシミになってしまった。

カバンの中でペットボトルの水滴がついてシミになってしまった。

大事な革製品にシミができてしまうと、慌ててしまいますよね。

そんな時は、まず落ち着いてください。

適切にケアすれば、全く目立たなくすることができます。

今回はそんな、革にできてしまった水シミを解消する2つのポイントについてご紹介していきます。

緊急事態に備えて、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

※コーヒーやインクなどの着色されたシミについてはご自身で対処することは難しいので、革のクリーニング屋さんなどの専門家にご相談ください。

POINT①濡らした布で思い切って全体を濡らして、シミを分散させる!

まず最初のポイントは、思い切って革全体を濡らしてしまうことです。

というのも、シミというのは濡れた部分が含む油分や不純物の偏りによって生まれるからです。

全体を思い切って濡らすことで、その偏りが分散されていきます。

明るい色の革だと特にシミができやすく、全体を濡らす時も少し勇気が入りますが、思い切ることが重要です。

たっぷりと濡らした布で、革全体に一気に水を含ませてください。

一部だけ濡れてシミになっていたのが、全体がムラのない濃い色になるまで水を含ませたらOKです。

この状態になったら、半日から~1日自然乾燥させてください。

ここで、1つ注意してほしいことがあります。

それは、この時にドライヤーを使って無理やり乾燥させるのはNGということ。

というのも、革は、その繊維のほとんどがタンパク質からできているからです。

同じくタンパク質を多く含む「卵」が熱を加えると固くなりますよね。

そのため、革に熱を加えてしまうと同様に硬くなって縮んでしまうんです。

ゆで卵をどういじっても生卵に戻らないように、この変化は不可逆的なので、熱で傷んでしまった革を元に戻すことはできません。

そのため、ドライヤーは絶対に使用せず、風通しの良い場所で自然乾燥させてくださいね。

POINT②乾き切る前に、全体に隈なくクリームを入れて油分を補給する!

続いてのポイントは、「乾き切る前に油分を補給する」ということです。

先程のポイントで革全体に水を含ませると聞いて、

「革は水に弱いって聞くけど大丈夫なの?」

と思う人もいると思います。

実は、「革が水に弱い」というのは正確ではありません。

「革は乾燥に弱い」というのが正しい表現。

そのため、どんなに水に濡れても、適切に油分を補給して乾燥を防げば何も問題はないんです。

これは、私たちが自分の肌にできることと似ています。

普段、肌が乾燥しないように化粧水で「加湿」して、乳液やオイルで「保湿」しますよね。

お風呂上がりで何もつけないと、お肌がカサカサに乾燥してしまう人もいると思います。

そうならないように保湿することが重要で、これは革にとっても同じことです。

つまり、お風呂上がりに肌が乾燥しないよう乳液やオイルをつけるのと同じように、革全体を水で濡らした後は、乾き切る前にクリームなどで保湿してあげることが重要ということです。

この2つを実践することで、革を完全に復活させることができます。

また、このときに使うクリームについても1つ注意点があります。

油性クリームなどの「油分比率」が多いクリームよりも、デリケートクリームなどの「水分比率」が多いクリームを使うと綺麗に仕上げやすいと思います。

油分比率が多いクリームを使うと、全体に偏りなくオイルを行き渡らせることが難しく、塗りムラが生じてしまうことがあるからです。

一方、水分量が多ければ、全体に満遍なくオイルを塗ることができて、ムラもできにくくなります。

※油性クリーム、デリケートクリームなどの皮用クリームについての詳しい記事はこちら

そして、縫い目の隙間などにも隈なくクリームを塗ることができたら、後は完全に乾くのを待つだけです。

結局、手順をまとめると、

①濡らした布で思い切って全体を濡らして、シミを分散させる!
↓半分乾燥
②完全に乾き切る前に、全体に隈なくクリームを入れて油分を補給する!
↓乾燥
完了

という流れになります。

この簡単な2つのポイントを実践するだけで、大抵の水シミは、跡形もなく無くなってくれるはずです。

革靴やカバン、革小物など、一般的な革製品になら何でも使える方法なので、お困りの際はぜひ試してみてください!

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