その革を見てまず目に入ってくるのは、均一に入った細やかなシボ。

繊維のきめ細かさを表すような上品な表面に触れてみると、しっとりとした柔らかさが指に伝わります。

そんな魅力的な表情を持つZEBUレザーは、実は少し変わった牛の革を使っているんです。

今回は、大人の男性の品を上げてくれる特別な牛革・ZEBUの秘密を徹底的にご説明していきます。

厳しい環境を生き抜くラクダのような牛。その革のきめ細かさの理由とは?

突然ですが、ラクダにはどうしてコブがあるのかご存じですか?

あのコブは、砂漠という過酷な環境を生きていくために必要なもの。

水や食べ物を見つけることが困難な環境を生きるために、栄養を脂肪としてコブにためているんです。

実はZEBUは、そんなラクダのようなコブを持つ牛「コブウシ」の皮から作られています。

コブウシは、ラクダが住む砂漠と同様に暑さの厳しい熱帯で育てられる家畜牛。

私たちの馴染みがあるコブなしの牛と比べて小ぶりで、栄養をしっかりと溜めているからか革質がきめ細かい牛になります。

手に取ると一目でわかる、小ぶりで均一なシボ感から、そんなきめ細かい革質を実感することができます。

私たちが馴染みのある牛でいうと、子牛と成牛の間「中牛(キップ)」に近い繊維質。

※子牛・中牛・成牛の違いについて詳しくはこちら

もちろん、sotが使う他の牛革と同じように、食肉として育てられるコブウシの皮をゴミにしないように再利用してZEBUは作られています。

そんなZEBUですが、その魅力を支えるのは、きめ細かい原皮の質だけではありません。

日本の革の聖地で2度なめすことで引き出される革のポテンシャル。

近畿地方の西部に位置する兵庫県は、全国の牛革の約64%がつくられ、日本の革の聖地とも言われています。

熱帯の国で育てられるコブウシの革をなめすのは、そんな姫路のタンナーです。

しかも、異なる成分で2度もなめしているんです。

まず最初のなめしでは、豚ロースや海藻にも含まれる必須ミネラル・クロムをつかいます。

このミネラルを「皮」に染み込ませることで、繊維同士と強力に結合し、腐ることのない素材としての「革」に。

クロムがつくる結びつきは、他のなめしに使われる成分と比べて非常に強力で、繊維がとても丈夫になります。

しかし、クロムでなめしただけでは、革は少し無機質な表情になってしまいます。

※服の生地に例えると、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維でつくられる生地のようなイメージ。

sotは、革のナチュラルな表情を大切に、使い込むほどに味わいが増す製品を志向しています。

そこで力を発揮するのが、ミモザやチェスナットなどの樹木から取れる「タンニン」と呼ばれる成分。

身近な所では、お茶やコーヒー、ワインなどを口にしたときに感じる「渋み」もタンニンによるものです。

この天然のなめし剤を革に染み込ませることで、クロム由来の耐久性の土台に、革の自然な表情が引き出せされるんです。

そして、革の繊維と結合したタンニンの働きによって、クロムでなめしただけで生まれなかった2つの変化が革に生まれます。

まず一つ目は色合いの変化。

タンニンは空気や紫外線に触れることで、徐々に色が深く変化していきます。

例えば、木の幹を考えてみましょう。

外側の樹皮はこげ茶色でも、スパッと輪切りにして断面を見てみると、内側はきれいなベージュ色をしていますよね。

これは、タンニンを含む木という植物が、常に紫外線や空気にさらされているからです。

これと同じように、タンニンと結びついた革も、使い込むうちに色の深さを増していきます。


(上:新品 下:約10ヶ月使用 革:ミネルバボックス / キャメル)
https://sot-web.com/c/all/material/minervabox/so-z-0146

そして、もう1つはツヤの変化です。

タンニンと結びついた革は、「変形したときに、その形を維持する性質(可塑性:かそせい)」が強くなります。

これは「変形した時にゴムのように元の形に戻る性質」、いわゆる「弾性」の反対の性質。

この性質が強い革は、手で触れたり、布で乾拭きしたり、平らにしようとする力が加わるたび、毛穴などの細かな凹凸が少しずつならされていきます。

ザラっとしたコンクリートより、ツルっとした大理石の方が光を反射しますよね。

それと同じで、革も表面がなめらかになればなるほどツヤっと光沢を帯びていくんです。

この2つの性質によって、使い込むうちに深まっていく革らしい色合いとツヤを、存分にお楽しみいただけます。


タンニンでなめされたプエブロレザーのバッグ

革という天然素材のナチュラルな表情。そのしっとりとした柔らかさのワケ。

なめしの後は、革を色付ける「染色」に入ります。

染色の工程では主に「染料」と「顔料」のどちらかが使われますが、この2つのどちらを使うかで、革の性質は180度変わってくるんです。

sotの製品は、革という天然素材の表情を生かすために、表面を覆うことのない「染料」を使うことがほとんど。

そしてこのZEBUも、染料で染められています。

色(染料)を繊維に染み込ませることで革を染めているので、本来のナチュラルな毛穴や凹凸、シワを隠すことはありません。

顔料で染めた革と比べて、雨などの水分を吸いやすくはなりますが、土台の革の色や表情の変化を最大限に楽しむことができるんです。

さらに、ZEBUは染料染めの中でも、「芯通し」という方法を採用しています。

芯通しとは、革の芯まで色を通すこと、つまり、革を芯まで染めることを言います。

コストや時間もかかる芯通しですが、そのメリットは、色合いに奥行きが出ること、そして「傷が目立ちにくいこと」です。

生活の道具として普段お使いいただくことが多い革製品には、どうしてもスレやキズができてしまいます。

芯通しをしない場合は、そういったキズが入ったときに、色が入っていない部分が剥き出しになり、目立ってしまうことがあるんです。

しかし、芯まで染めていれば、そのキズを比較的に目立たなくすることができます。

ZEBUの魅力はこれだけではありません。

染色の後にはしっかりとオイルを入れて、空打ち(からうち)と呼ばれる、革をふっくらと揉みほぐす工程を行なっています。

これによって、きめ細かい革質を証明するような上品で細かいシボが浮かび上がります。

さらに、この無数の凹凸によって、細かな傷は一層目立ちにくくなるので、気を使いすぎることなく、長く愛用していただける製品になるんです。

店頭では、色合いや表情の違いも比べていただけるので、魅力的な表情を持つZEBUを使った製品をぜひ一度ご覧になってみてください。

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営業時間:11:00~22:00