革靴は、適切にお手入れすることで10年20年と履くことができます。

しかし、どんなに良い素材を使っていても、その製法に手を抜いている靴は、1年足らずでダメになってしまうこともあります。

そんな残念な状況にならないように、今回は、長く履ける靴の「製法」について知っておくべき内容を詳しくご紹介していきます。

あなたの持っているスニーカーも革靴も、ほぼ全て、ここでご紹介する3つの製法のいずれかでつくられています。

どの製法でつくられているかによって、どれだけ長く履けるかが変わってくるので、お気に入りの靴をより長く履きたいという方は、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

<目次>

:安価で雨水に強い。足にもお財布にも優しい製法とは?

:リーズナブルでありながら修理可能。なおかつ軽やかな歩き心地を実現する製法とは?

:最も丈夫な製法の1つ。1020年と履ける本格革靴に採用される製法とは?

安価で雨水に強い。足にもお財布にも優しい製法とは?

まず1つ目は、足の甲をおおう素材(アッパー)と、靴底の素材(アウトソール)を直接接着する製法「セメント製法」です。

(セメント製法の靴を輪切りにした断面図)

大体のスニーカーと安価な革靴はこの製法でつくられています。

製造コストが安いため、使い手としては安価に買えるのに加えて、アッパーとアウトソール間がスキマなく接着されているので、他の製法に比べて雨にも強いのが良いところ。

また、中の構造が単純なので、地面を蹴り出す時に靴がよく曲がり、履き心地が柔らかいのも良いところですね。

一方でデメリットは、ソールとアッパーを強力に接着するため、ソール交換で剥がしたり貼ったりするとアッパーがボロボロになってしまうことです。

つまり、他の製法と比べて、すり減ってきたソール交換ができる回数は圧倒的に少なくなります。

安いスニーカーなら買い替えれば良いかもしれませんが、素材的に高くなりがちな革靴はそう簡単には買い替えれませんよね。

そのため、どんなに高級な革を使っていたとしても、長く履いていきたい場合に、この製法の靴を選択するのはあまりおすすめしません。

しかし、好みが変わったらすぐに買い換えるというタイプの方や、安くて歩きやすい革靴をお探しの方、色々なデザインの靴をたくさん揃えたいという方には良い選択肢の1つだと思います。

リーズナブルでありながら修理可能。なおかつ軽やかな歩き心地を実現する製法とは?

セメント製法の靴は安価なのが良さの1つですが、何度もソールを交換することはできない。

それでは、リーズナブルでありながら修理が可能な製法はないのでしょうか?

実は、そんな製法も存在します。

それが2つ目にご紹介するマッケイ製法です。

この製法は、セメント製法と構造自体は似ています。

異なるのは、アッパーとアウトソールを強力に接着するかわりに、これらを縫うことで結びつけるという点。

特徴を簡単に言うと、マッケイ製法とは、「足の甲をおおう素材(アッパー)と、靴底の素材(アウトソール)を直接縫い付ける製法」になります。

(マッケイ製法の靴を輪切りにした断面図)

セメント製法のように強力に接着せずとも、縫いをかけて繋げられるため、この縫いを解くことでアウトソールを交換することが可能になります。

また革靴の場合、その中身はセメント製法の靴とほぼ同じつくりで、詰め物などの内容物は少なく、そして軽くすることができます。

そのため、靴自体も軽量で柔らかい履き心地になります。

一方で、靴底まで縫い穴が貫通するつくりのため、そのまま履くと雨水などは侵入してきやすくなってしまうのが欠点。

滑り止めを兼ねてハーフラバーを張るなどして改善可能です。

そんなデメリットはありますが、比較的リーズナブルな製法でありながら、軽やかで、ソールを交換しながら革という天然素材を長く楽しめる製法だと思います。

大事に長く履きたいけどあまりお金はかけられないと言う方や、硬くない履き心地の良い革靴を楽しみたいという方にはおすすめです。

最も丈夫な製法の1つ。1020年と履ける本格革靴に採用される製法とは?

ソールを何度も交換できないというセメント製法の欠点を克服したマッケイ製法。

しかしこの製法は、アッパーとアウトソールを強力に接着しないまでも、縫いをかけることで革に無数の小さな穴を開けることになります。

つまり、修理を繰り返すたびにアッパーや中底にダメージが加わることには変わりありません。

そのため、何度も何度もソールを交換すると、革の破れに繋がってしまうことも。

その欠点さえも解消しているのが、3つ目にご紹介するグッドイヤーウェルト製法です。

この製法の特徴をごく簡単に言うと、「足の甲をおおう素材(アッパー)と、靴底の素材(アウトソール)を直接縫わず、間に挟んだパーツにそれぞれを縫い付けることで間接的に結びつける製法」

です。

(グッドイヤーウェルト製法の靴を輪切りにした断面図)

このつくりによって、ソール交換の際にアッパーへのダメージを極力減らすことができるため、最も多くソールを交換することができる製法の1つになります。

また、マッケイ製法のように、縫い穴が地面に直接繋がっていないため、雨水が入ってくることはありません。

つまり、雨にも強いということです。

また、この製法では、間に挟むパーツが増えることで、中のスペースが増えて、コルクなどの詰め物の量も増えることになります。

そのため、詰め物が沈み込むことで徐々に足の形を覚えてくれるのも良いところです。

しかし一方で、内容物が増えることで、歩く時に靴は曲がりにくくなり、セメント製法やマッケイ製法の靴に比べて履き心地は固くなるのがデメリットかもしれません(履き心地の好みにはなりますが)。

重厚で硬めの履き心地にはなりますが、雨にも強く、修理を繰り返してもアッパーにダメージが蓄積しにくい本格的な製法になります。

本格派でとにかく長く履ける方が良いという方や、履くほどにより足に馴染みやすい靴が良いというにはおすすめです。

結局、一般的な耐久性に関して言えば、セメント<マッケイ<グッドイヤーの順でソール交換可能回数が多くなるため、他の条件を揃えた時にはこの順で丈夫になると言えます。

しかし当然、構造が複雑になるほど製造コストは上がるため、同じ素材を使うと、セメント<マッケイ<グッドイヤーという順で靴の価格は高くなります。

以上、簡単にはなりますが、主要な靴の製法3つをご紹介しました。

それぞれの製法でメリットとデメリットがあるので、靴を選ぶ際にはぜひ参考にしてみてくださいね。

最後に、sotの革靴はこちらになります。

より足の形を覚えてくれるタンニン鞣しの革をアッパーに使い、価格と履き心地、そして耐久性のバランスを考えて、全てマッケイ製法を採用。

程よく丸みのある木型で、カジュアルにも合わせやすいデザインになっています。

オンラインでは完売のサイズ・カラーもありますが店頭では残っている場合もあるので、気になる方はぜひお早めにお問い合わせください。

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